「の幸せを願うなら手を放せ」
リボーンの冷たい声が響く
「でもアジトで育てれば・・・!ここは安全だ!!」
「は玩具じゃない」
ぴしゃり、と言い切ればツナは唇を噛み締め俯いた
「外に一切出さず
人との接触を避けさせて
そうやって一生篭の鳥のように育てるつもりか?」
現実を突きつけるとは、まさにこの事だ
「本当にそれがの幸せになるのか」
この時の涙だけは見ないフリをした
「・・・愛してるよ。必ず迎えに行くから
待ってて・・・」
まるで昨日のことのように思い出せる
「」
「は、い」
涙のせいで妙に癖のある返事になってしまった
「父親に会いに行くか」
「・・・え?」
い*ち*と*せ-腐草為蛍-
「まぁまぁちゃんどうしたの!?」
リボーンにだき抱えされたままの帰宅は当然のように奈々を驚かせてしまった
「ちゃんがどうかしたのか!?」
更に家光まで出てきた
「え、と」
「うぉお!?ちゃん何泣いてんだぁ!?」
「煩いぞ家光。をツナのところに連れていく」
「は?」「え?」「う?」
3人揃って目を丸くする様を見てああ、さすが親子だな。とリボーンは思った
その中でまだ瞳の赤いを抱いていた腕をそっと解いた
とん、と小さな足が床をたたく
「。お前父親に会いたいんだろ」
はぱちぱちと瞬きをして戸惑ったようにリボーンを見上げる
「ちょっと待てリボーン」
「なんだ家光」
「を綱吉のとこに連れていくことに異存はない。元々そのつもりでイタリアから出てきたんだからな。だがそれは2週間後の予定だろ?」
え、の口から小さな声が零れた
2週間後に父親に逢える
そのことが頭の中をぐるぐると回っていた
「2週間、ていうのはの支度のために据え置いた期間だ。早くなったからと言って困ることは無い」
「そりゃあそうだが・・・」
「」
まだどこか渋っている家光を放ってリボーンはに向き直った
「お前が決めるんだ」
「わたし、が・・・」
「父親に会いたいってお前が望めば俺が連れて行ってやる」
父親に会いたい
その気持ちが生まれたのは何も昨日今日のことじゃない
もうずっと前からの中にあるものだった
でも・・・
「パパは・・・わたしのこと嫌いじゃ、ないんでしょうか・・・」
その気持ちもずっと前からあるものだった
だからパパはわたしに会いにきてくれない
「ちゃんそんなことは・・・」「悪いがママンは黙っててくれ」
「」
また静かに涙を流している小さな少女に声をかける
ぽろぽろととめどなく涙が伝う頬をそっと拭うと温かく柔らかな感触
・・・この温もりを引き離したのは俺だな
「俺達から聞くのはフェアじゃないな」
「・・・っ」
「その答えはお前が自分で父親から聞かないと意味がない」
もっともだ、とも思う。きっと他の誰に聞いても信じられないだろう
「行き、ます」
ごしごしと袖口で涙を拭い、真っ直ぐとリボーンを見つめ返した
「リボーン君、連れていって、ください」
「いい覚悟だ」
にやり、と笑うリボーンはとても嬉しそうだった
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