やっと話そうって決心がついたんだ
自分から話すのは
きっと最初で最後
本日ハ晴天ナリ
-将side-
「・・・麦茶で良い?あ。アイスもあるけど」
「ううん、良いよ。ちょっと話がしたかっただけなんだ」
出来れば今すぐにでも話し出したかったけどちゃんは少し、戸惑った様子で僕の方を見ていた
やっぱり昨日の一言は唐突すぎたかなぁ
でも
ちゃんはいつだって正直に話してくれたから僕も僕の事を話したかったんだ
「お母さん達がお礼言ってたよ。ちゃん道案内してくれんでしょ?
ありがとう」
「お礼言われる程の事じゃないよ」
あ、笑った
ほんの少し照れたみたいに
ちゃんはいつも柔らかく笑う
僕はそんなちゃんの笑い方が好きだった
「ねぇちゃん」
「なに?」
「僕と功兄ね、血は繋がってないんだ」
「・・・うん」
ちゃんはあんまり驚いた様子は無かった
もしかしたら知ってたのかもしれない
「さっきの・・・お父さんとお母さんとも本当は親子じゃないんだ」
「うん」
僕が、本当の両親の事を知ったのはいつだろう
たぶんそう昔の事じゃない
だけど鮮明に思い出すことが出来ない
それくらいごく自然に、僕はその事実を受け止めたんだ
(あぁやっぱり)
って
「・・・将君は、どう思ってるの?」
「なにが?」
ちゃんはまた少し悩んだ感じで俯いて・・・やがて意を決したように顔を上げた
あれ、何か怒って・・・・
「血、なんて関係ないと思う!」
え?
「だって将君と功さんは兄弟だもん。血が繋がって無くたってそうでしょう?
あのおじさんとおばさんだって将君と血が繋がって無くても将君の事息子だって思ってるはずだよ?
ううん、絶対思ってる!」
必死に言葉を紡ぐちゃんを僕はただ驚いて見つめていた
「血なんて・・・ただの戸籍上だけの問題で・・・」
僕は
何度君の言葉に助けられただろう
「ちゃん」
「・・・」
「僕には両親が2人いるんだよ」
びっくりした顔のちゃん
「僕には風祭功っていう兄貴がいて、それにお父さんとお母さんが2人ずついるんだ」
すごいでしょう?そう言って笑う将君は
いつも通りの、あの幸せがうつっちゃうような笑顔だった
思わず私も笑顔になる
「・・・うん。すっごく素敵なことだね」
ほら、ちゃんはそうやって本当に嬉しそうに笑ってくれるから
どうしても伝えたいって思ったんだ
「ねぇ将君。アイスティー飲む?」
「え?」
「ちょっと待ってて。すぐに作るから」
たとえば苦しいことだとしても
それを支えてくれるから
ひだまりのように優しく
弱音だって何だって溶かしてくれるから
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
ミルクたっぷりのアイスティー
「美味しい」
「良かった」
凍てついていた弱音も溶かしてくれる
ひだまりのような
ストローを回せばカランと氷が音を立てる
アイスティーを飲みながら
そう、それはひだまりのような
-------------後書き--------------------------------------------------------
・・・ほのぼの感は伝わったでしょうか?
とにかく将君とちゃんは仲良くほのぼの、というのがコンセプトなので
頑張ってみました。
これからちょっとオリジナルに奔りそうな感じです。
2月5日 砂来陸