部屋は全体的にパステルカラー
ベットの所にはテディベアの人形なんかが置いてあったりして
・・・同じ『女の子の部屋』でもえらい違いだなぁ
本日ハ晴天ナリ
「『My mother get up at six?』・・・合ってる?」
「う〜ん惜しい。これは3人称だから get にはSを付けて gets にするの」
「あ。なるほど」
の部屋に案内されて最初のうちは挙動不審だったものの真面目に勉強に取り組んでいた
ただ
「お前等耳が付いてるの!?」
ビクッ
隣の部屋から天使の様なボーイソプラノでマシンガントークが聞こえてくるたびに一度肩が上がる、のだが
逆には翼が怒鳴り散らしてる事なんていつものことなので平然としていた
「もうあかんて翼!!ちょぉ休憩しようや〜?」
根を上げたらしいナオキの声
あぁ。来る・・・
「休憩だって?」
絶対来る
条件反射で両手を耳に当ててパチンと蓋をした
ちらりと顔を上げるともまったく同じポーズをしていた
「休憩って言うのは何かを一生懸命したヤツがするもんなんだよ!
間違っても2時間経つのに複数形と三人称の違いが分からないようなヤツには休憩なんてあるわけないだろ!!
誰のために二時間もこうやって中一の勉強に付き合わなきゃいけないんだよ!!」
耳を塞いでいてもガンガン響いちゃってます
もしかしてテストの度にこうやって翼の家で勉強会開いてるのかなぁ・・・?
またちらり、との顔を見ると「うん、いつもこうなの」と首を縦に振ってくれた
いつの間にか私はと以心伝心出来るようになったらしい
「でも、そろそろ休憩させてあげなきゃナオキ君の頭パンクしちゃうかもね」
は一人そう納得したように呟き
「翼ちゃーん!紅茶とコーヒーどっちが飲みたいー?」
と叫んだ
5秒くらいしたけど翼から返事は返ってこなくて
「ちゃんがいっぱいお菓子作ってきてくれたのー。甘くないのもあるよー」
と、第二弾攻撃をしてみると
「・・・ミルクティー」
妥協したような声と後から「助かったぁ!!」と叫ぶナオキの声が聞こえた
どうやらはナオキを助けてあげたらしい
女の子らしい上に優しいなんて言うことないようなぁ、と自分と比べてちょっと凹んでいると
「ふふっナオキ君にひとつ貸し〜」
・・・・ん?
空耳かしら?顔を上げてを見てみるとはお茶を入れる準備をするらしく立ち上がったところで
目が合うといつものにっこり笑顔で「なぁに?」と首を傾げた
そう、いつもと寸分狂わぬ笑顔で
・・・・空耳・・・・だと良いな
お茶会はみんなでするもの!とが言い張ったので今度はリビングらしき所へ通された
どうやら私もこれから休憩らしい
・・・リビングもこれまた立派ですごく広いところでした
「ちゃんアッサムティーで良い?」
「あ、うん」
紅茶は殆ど分からないんだけどとりあえず頷いておいた(どっちかって言うとコーヒー派だからな)
が楽しそうに紅茶を入れるのをぼんやりと見ていたがすぐにぞろぞろと人が増えてきた
「いやぁ〜のおかげで助かったわぁー」
「お、」
「お疲れ」
片手を上げて簡単な挨拶(かなり淡泊らしいけどこれが普通なの)
みんなの私服姿ってどんなのだろ?とちょっと想像していたんだけど翼以外はみんな制服だった
どうやら学校帰りそのまま強制連行されたらしい
「何もこんな時期にテストなんてやらなくても良いのにね」
どこかやつれた影が見えるみんなに苦笑してそう言ってみるとみんな全くだ!といった感じで首を縦に振った
しばらくしてが美味しい紅茶を淹れてきてくれて
私が作ってきたお菓子をお茶請けにみんなで談笑をした(最初は不機嫌そうだった翼もしばらくしたら笑ってた。良かった)
「しっかし相変わらずの紅茶とのケーキは旨いなぁ」
「ありがとう」「どーも」
誰かに喜んで貰えるのは嬉しい
作った甲斐があるなぁって思える
「きっとちゃんは素敵な奥さんになれるよねー」
「ははは・・・私を貰ってくれるような物好きがいればね」
短気でパニック体質の私のことを一生面倒みてくれるような人・・・・そうそう居ないんじゃないかなぁ
本当に相当な物好き、に分類される人だろう
でもは「ちゃんだったらたくさんの人にプロポーズされると思うよ!」と真剣に言ってくれたので反応に困った
だって何か翼とかうろんげに見てますよ?
「あら、楽しそうね」
みんなで談笑を繰り広げていると玲さんが入ってきた
・・・・そっか、玲さんもここに住んでるんだ
「お姉ちゃんも飲む?今日はちゃんの手作りお菓子もあるの」
「あら。じゃあ頂こうかしら」
私服姿の玲さんも素敵です・・・・なんて一人場違いな事を考えてしまった(だって本当に素敵なんだもん)
口元に上品な笑みを浮かべて玲さんは翼の横に腰掛けた
「勉強ははかどったかしら?」
「コイツ等がもう少し理解力があればね・・・」
翼がぐるりとナオキ達に冷たい視線をおくる
ナオキ達は突然 カップの柄に興味を持った様で決して翼とは目を合わさない様にしてカップをひたすら眺めてた
でもそれはあんまりにも極端すぎるだろ、と一人で笑いを堪えていた
「そうそう、次の対戦相手のデータ集めてきたわ」
が淹れた紅茶を片手に玲さんが思い出した様に口を開いた
・・・次の対戦相手って誰だったっけ?
いつも対戦相手に関する情報収集は玲さんがしてくれるのですっかり忘れてました
「試合日は確かテストが終わってすぐの日曜日でしたよね?」
スケジュール表は何とか思い出すことが出来てそう尋ねると玲さんは「えぇ」と頷いてくれた
よかった。間違ってたらホント職務怠慢になってしまう所だった・・・(既に名前だけのマネになりかけなのに)
「桜上水は2年生が中心ね。注意するのはFWの佐藤成樹とMFの水野竜也
調べた限りではこの2人がチーム内の第一戦力みたいね。それから・・・もう一人ムードメーカーみたいな子がいるらしいけど・・・」
桜上水?佐藤成樹?
いつかは当たるかもしれないって思ってた
「・・・次の対戦相手って桜上水なんですか?」
だけど
「今更何言ってるんだよ」
呆れた様な翼の声
それは肯定を意味して
いつかは当たるかもって覚悟してた
だけど
だけど
--------------後書き------------------------------------------------------------------------------------------------
内容詰め込みすぎました・・・
でもこの話に収めたかったんです。
はてさて、フリーズしたちゃんは無事解凍されるんでしょうか?笑
9月30日 砂来陸