外に出ると思った以上に日差しが強くて

せめて帽子でも被ってくるべきだった、と少し後悔した



本日ハ晴天ナリ





に教わった通りの道筋をバスで行く

バスの中からにメールを送るとバス停まで迎えに来てくれると返ってきた

(ありがたいなぁ・・・)

よくよく考えたら友達の家に遊びに行くなんてすごく久し振りで

特に女の子の家に遊びに行くなんて小学校低学年以来で

何だか変に緊張してきてしまった


窓から見える景色に家が増えてきた

の家は住宅街の一軒家らしい

「あっ」

思わず声が出てしまった

目に入ったのはバス停に立っている

も私に気付いたみたいで嬉しそうに手を振ってきた

すごく、どうでも良いことだけど

私服姿で会うのは初めてで

私なんかは恐ろしくて着れないヒラヒラした洋服を着たは普通に可愛かった

ちゃんっ」

バスから降りた私に小走りで近づいてくる

ヒラヒラした洋服がフワリと揺れる

女の子らしいなぁ、とちょっと羨ましく感じた

「ちょっと遅かったね?」

「あー、ごめん、お菓子作ってたの」

『お菓子』という単語が出てきた途端、の顔色がパッと変わった

元々笑顔だったんだけど・・・何て言うかウキウキ笑顔になった(どう違うの?とか突っ込まないでね)

ちゃんの手作りお菓子美味しいから好き!」

「ありがと」

う〜ん、将君の笑顔も嬉しいけどの笑顔も伝染するなぁ

いつかと将君を会わせてあげたいな


バス停から少し歩いたところではピタリと立ち止まった

そして

「はいっここが私の家でーす!」

じゃんじゃーん。と効果音が聞こえてきそうな感じでは一件の家を指さした

・・・何て言うか

・・・・・

・・・・・ひたすらに大きいですね

どうみたって一般人の住む家じゃないよ・・・?

ちゃん?早く入ってー?」

何故そう簡単に言えるのでしょうか

「お、お邪魔しまーす・・・」

かなり引け腰気味に中に入る

だって埃ひとつでも落としちゃいけないような感じなくらいゴージャスなお家なんですよ!

「遠慮しないで!」

「のわっ!」

が、に思いっきり背中を押されて勢いよく中に突っ込むはめになった(しかもかなりおかしな声を上げて)

あぁ・・・思った通り玄関も素晴らしく広くて

「だから何度言ったら分かる訳!?主語が三人称だったら複数形になるんだよ!!
 何でそうなるのかとか理屈考える頭があるんだったら単語の一つでも覚えろよ!!
 俺が貴重な時間削って教えてやってんだから意地で頭にたたき込めよ!!
 それとも何?体にたたき込んで欲しい訳?!」


『お邪魔します』って言って早々『お邪魔しました』って言いたくなった


品が良く置かれた花とかを静かに眺めるにはちょっとばかり場違いな罵声が聞こえてきて

声の主は顔を見ずとも分かる 天使の顔したお方で(本人の前じゃ絶対言えないけど)


「・・・そういえば翼もいるんだったね」

「うん。ついでに言うと今日は五助君、ロク君とナオキ君と柾輝君も来てるよ」


(わーみんないるんだぁ)

一応友達の家に遊びに来たハズなのに部活の仲間に会うとはかなり予想外で

何ともリアクションしづらいと思いながら靴を脱いでいるとドスドスとかなり不機嫌そうな足音が家の中から近づいてきた

「・・・ったくあいつ等一体どんな頭の構造してるんだよ
 三人称・単数・複数形なんていうのは1年の内容だろ。何で今更そこから教えてやんなきゃいけないんだよ・・・」

可愛らしいボーイソプラノなのに内容はかなり毒舌モノで

そんな声の主は一人しか知らなくて

ちゃん?早く上がって来てー?」

片方の靴を脱ぎかけのまま硬直していた私を不思議そうにが呼んだ

・・・行きたいのは山々なんですが・・・!

が来てるの?」

さっきまで毒舌をご披露していた声が私の名前を呼ぶ

肩がビクッと動いてしまった

恐る恐る後ろを振り返るとそこには案の定天使の顔をしたお方が立っていた

「・・・やぁ。翼」

「なに人の玄関先で挙動不審やってんの?」

その質問には曖昧な笑顔で応えておいた(何故って口に出して理由を言ったら間違いなくマシンガントークを喰らいますから)


密かにながら女の子2人でそれなりに楽しくお勉強会を想像していた私の希望は

儚く散りました


Next

-------------後書き----------------------------------------------------------------------

無駄に長くなりました。
そして無駄に可笑しくなりました。
お勉強会こそ1話でまとめる予定だったのに・・・
以上、模試そっちのけで夢を書いてた管理人です。

                           7月22日 砂来陸