これまたえらい別嬪さんやなぁ

でも

どちら様って・・・

それって普通俺のセリフとちゃう?




本日ハ晴天ナリ





とりあえず言えるのはここは間違いなく風祭家だということ(表札も確認したし)

だけど出てきたのは知らない人

(・・・将君の友達?)

年齢的にみて功さんの友達っていうのはどうにも考えにくい

だけど・・・

目の前にいる男の子を見てみる

金髪

ピアス

チャラチャラしたアクセサリー


・・・・本当に将君の友達?

(いやいや人を見かけで判断しちゃいけないって言うし

 こう見えて結構善人っていうのもありえ・・・る・・・・かも?)

当人を目の前にして悶々と考え込む

相手からしてみれば結構困る行為だろう

「えーっと・・・姫さん、ポ・・・カザの知り合いなん?」

関西弁

自分の事を姫さんと呼ばれた事よりそっちが引っかかった

そして頭の端をふっとナオキがよぎった

関西弁に金髪その姿はナオキとだぶって(いやこの人の方が格好いいけど)少しだけ安心した

たぶん、悪い人じゃないだろう、と

カザというのはきっと将君の愛称なんだろう(でもポチって何?)

「将君は居ないんですか?」

「さっき飲み物買いに出かけたで?」

あぁ、なんだ居ないんだ・・・

よくよく見れば玄関にはたくさんの運動靴が散乱している

(そういえば将君ももうすぐテストだって言ってたな)

きっとサッカー部の友達とかが来て勉強会でもしてるんだろう

「なぁ姫さんカザの彼女なん?」

ハチミツ少年(名前が分からないからこう呼ばせてもらおう)はお名前何ですか?とでも聞くようにそう言った

本当に、そんな風に聞くので意味を理解するのに2秒かかった


かの・・・?


ってええぇぇ!?

「ちっ違います!!

 将君とは友達です!!」

まさかでもそんなこと言われるなんて思って無くて顔を真っ赤にして否定した(だ、だって彼女って・・・・)

別に嫌なんじゃなくて将君がきっと迷惑でしょっ!?

人が顔を真っ赤にしてあわてふためいているのをハチミツ少年は何故か楽しそうに見ていた

「姫さん、かわいーなー」

ただでさえ真っ赤なのにハチミツ少年はサラリとそんな事まで言ってくれた

結構至近距離で しかもかなり美男子に

これが赤くならずにいられるか、いやいられまい(反語)

天然なんですか?ナンパ症なんですか?タラシなんですか?それって口説き文句ですよ?!

この上なく顔を真っ赤にさせてこれ以上ココに居るのは危険だ!と感じた

「・・・っコレ!将君に渡して下さい!!」

半ば強引にお菓子の入った袋を押しつけた

そしてそのままくるりと踵を返して逃げ・・・もとい走り去ろうとした



「何や逃げんでもえーやん」

悲しい事にそれは敵わずそれどころか腕をがっちり掴まれた

掴まれたところからまた熱が生まれる

「離して下さいいいっ」

「名前」

「は?」

片手には私が押しつけた袋を持って足でドアを押さえていて

ドアノブにあったはずの手は私の腕を掴んでて

にっこりと笑顔でそう尋ねられた

「名前教えてくれたら離してもえぇよ?」

一体ハチミツ少年は何を考えているんでしょう

いっそのこと「山田花子と申しますの。オホホ」とでも言ってみようか?


ちゃん?」


疑問系で名前を呼ばれて勢いよく振り返ってみるとそこには両手一杯にジュースを抱えた将君が立っていた

「将君っ!」

勢いよく腕を振ってハチミツ少年の手を抜け出し一目散に将君の方に駆け寄った

思わず抱きつきそうになったけどそこは耐えた(だってジュース持ってるし・・・)

まぁどう頑張って見ても尋常じゃない私の様子に(顔色とか)将君は心配そうに顔を覗き込みそしてハチミツ少年の方を向いた

「シゲさん、ちゃんに何かしたんですか?」

「なーんも。ただ名前聞いただけやで?」

嘘だ!!と叫びそうになったけどハチミツ少年(あ、名前『シゲ』さんだったっけ)の言うことはよく考えると間違っていない

だって勝手に赤くなったり逃げ出しそうになってるのも全部私が勝手にやってるんだもの

ちゃん、大丈夫?」

心配そうな将君の声

ありがとう。だんだん落ち着いてきた

「姫さん、『』って名前なん?」

「・・・・はい」

おかげで何とかそう返事をすることも出来た

「俺、佐藤成樹言うねん。よろしく」

一体何がよろしくなのか、それより今後、会うこともあるのか

分からなかったが

「よろしく・・・お願いします」

頑張ってそう挨拶した(本当に頑張った!!)

ちなみに。大げさだと思われるかもしれないけど

私はその内、沸騰しすぎて死ぬかも・・・と本気が考えていたことを記録しておこう



ちゃん、今友達が来てるんだけど・・・上がる?」

「ううん、これからちょっと出かけるから。夜にお邪魔して良い?」

「うん、分かった」

その後は将君とそんな会話を交わして

私はそのまま宅へ行くべくバス停に向かった(ハチミツ少年・・・じゃなくて佐藤さんは先に部屋に戻っていきました)


顔の火照りはバスに乗る頃まで続いていた


Next

------------------後書き-----------------------------------------------------------------------------
ハチミツ少年とからかわれるちゃんの話でした〜
まさかこの話で一話になるなんて・・・正直予想外でした。
感想なんかを頂けると嬉しいです。

次回はようやくお勉強会ですね〜(ちゃんが待ちくたびれてるでしょう)

                                    5月22日 砂来陸


あれ、見つかった?