サッカーに必要なものは?と聞かれたら
少し悩むかも知れないけど
とりあえず私は・・・
本日ハ晴天ナリ
「あっ翼ちゃん!」
マサキとロクに「それじゃまた後で」と言った矢先、今度は翼に会った
というかが発見した
「ゴールキーパーしてる女子ってやっぱだったんだ」
「やっぱりって何よ」
タオルを肩に掛けて歩いてくる所を見ると翼も今休憩中なんだろう
「翼ちゃんも勝ったの?」
「愚問だね」
ということは3年の部は翼のクラスか・・・強敵だなぁ
ってまずは2年生と対決して勝たなきゃ3年と当たることなんて無いんだけどさ
「あっちゃんそろそろ時間じゃない?」
にそう言われてようやくもうすぐvs2年生ということに気が付いた
「え、もしかしてのクラス勝ってるの?」
「もしかしなくても勝ってるよ」
え、何でそんなに驚くのさ・・・そんなに勝ったら可笑しい?
「千葉達(サッカー部1年)に勝ったの?」
あ。そういうこと
「勝ったよ!ちゃんがシュート止めたの!格好良かったんだから!!」
嬉しそうに話す
「・・・恥ずかしいからあんまり言わないで・・・」
は天然なのか素で人を褒める
私は未だにそれに慣れない(どうしても照れちゃうんだよ)
「あ。、私そろそろ行くね」
そろそろ行かないと本当に時間がヤバイ
ただでさえ2年相手なんだから待たせたりなんてしたら
「うん!応援してるね!!」
「ありがと」
自分のことみたいに喜んでくれるの為にも出来るだけ頑張ろうと思う
他人のために頑張るっていうのは良いことじゃないかもしれないけど
喜んでくれる人がいることは嬉しいから
「」
名前を呼ばれたのでグランドに向かおうとしていた足を止めて翼の方を見ると翼は天使の様な悪魔の様な・・・まぁとにかく笑みを浮かべていた
・・・怖いですよ翼さん・・・
「何?」
「僕も試合観に行くから退屈させないように」
うわー命令形ですことよ翼さん
この俺様っぷり・・・亮と良い勝負かもね
でも・・・
今の私には十分すぎる『励ましの言葉』だ
「了解」
そう言うと翼も満足そうに笑って
私もさらにやる気が出てきた
確かに2年対1年なんて明らかに1年は不利で野球の試合みたいになっちゃいそうだけど
精一杯頑張りましょうか?
さぁいよいよ2年生との対決だ、と心の中で密かに意気込みながらコートに向かうと1Eの男子はもうみんないた
・・・私が一番最後らしい
「ごめん!」
慌てて謝るとみんな大丈夫と言った風に笑った
・・・嬉しい
本当に
少し前までは考えられなくって
あぁ世の中色々あるもんだ、としみじみ感じた(年寄りみたいとか言わないで!)
「お手柔らかに」
「絶対負けねぇ!」
本当にらしい、マサキとロクの挨拶を受けて
「こちらこそ」
1Eの基本はマンツーマン
だって1Eにはサッカー部がいないし今回は相手が2年生
これが一番確実なんだ
でももちろんこれだけじゃない
キーパーグローブをはめながら相手のフォーメーションを確認する
・・・まぁフォーメーションも何もサッカー部はマサキとロクの2人だけだからみんな適当にばらけてるだけだ
(ま。私にとっては好都合だけどね)
緊張して乾いてきた唇をちょっと舐める
(やっぱ問題はマサキかなー・・・ボールコントロール上手だし・・・
ロクはボールへの反応が早いけどボールコントロールがイマイチだしね・・・)
さて、試合が始まるまでに私も早く指示を出さなきゃいけない
「斉藤君」
「は、はい!?」
・・・まだどもってるよ斉藤君・・・
「クラスで一番身長高い人をあの・・・ドレッドの人に付けて
それからあの色の黒い人に足速い人を付けて欲しいんだけど」
「わ、分かった!」
確かにマサキとロクはやっかいだけどサッカーは2人でやるわけじゃない
さっき千葉君達(1年トリオ)と対戦だってして分かったこと
ホイッスルが鳴る
試合が始まった
・・・・ってイキナリ速攻ですかっ!
せっかく身長の高い人を付けたにも関わらずヘッドでボールを取ったロクが一人ドリブルで突っ込んできた
ついでに言うとそれに呆気を取られた1Eの間を敵がどんどん上がってきた
というわけで状況は芳しくありません
頭の中でそんな実況中継が流れ出してきてはっと我に返る
やっぱり2年生は(っていうかロクとマサキが)強い
「っ マンツーマン!自分の相手だけは見失わないで!!」
それだけ叫ぶと自分も急いで前に出た
一瞬、マサキが視界の端に映った
ロクがボールを持っていたわけだから本当ならマサキのことは気にすることは無かったんだけど・・・
何となく、
マサキが笑った様に見えた
自分の中で小さな違和感が生まれた
前に進めていた足をストップしてその場で守備体制に入る
斉藤君達は悲しいことに私の言葉を無視してロクのところに突っ込んでいった
(だーっ!!)
軽く舌打ちをしたくなる心境だったが今はそんな余裕すらない
案の定、敵を充分に引きつけていたロクはマサキへロングパスを出した
フリーでボールを受け取ることになったマサキは待ってましたと言わんばかりにシュートを放ってきた
それもまた絶妙のコントロールで
前に出てたのが仇となってしまい後退しながらボールを追う
ギリギリの所でジャンプする
ボールにかろうじて指先が触れた
ボールと摩擦を起こしてジリッと音を立てる
その反動で体はバランスを崩して後ろに傾いてしまった
「わっ!!」
ドサッと背中から落ちた
(痛い・・・)
目を開けるとフラッシュを焚いてるみたいにチカチカする
「大丈夫か?」
あぁ、耳は正常だ
目の方もなんとか戻ってきて視界にはマサキが手を差し出しながら立っていた
「?生きてるかー」
「生きてるよ・・・」
つーかこんな所で死んでたまるか
差し出されるマサキの手に遠慮無く捕まって起きあがる
(あー頭痛い・・・ついでに背中も)
って
「ちょっとマサキ!ボールは!?」
あわや忘れる所だった
それほどすごい形相をしていたのかマサキはちょっと驚いた顔をして・・・
それからちょっと呆れた様な顔をして(その顔は覚えてないのか?といってる感じだった)
「上」
「上?」
言われたことをそのままオウム返しにして首を上に傾ける(まだちょっと痛い)
「・・・・あ」
ゴールネットに引っかかってるのは黒と白のボール
「ナイスキーパー」
マサキがそう言った背景には斉藤君達の歓声があった
Q.サッカーに必要なものは?
A.『野生の勘』と『根性』
---------------後書き----------------------------------------------------------------
試合のシーンってどうしようもなく長くなってしまいます。すみません・・・(−−;)
文才がないから無理矢理詰め込んだ!って感じで・・・
根性でマサキのシュートを止めたちゃん、何かもう逆ハーのヒロインとは思えませんね
1月12日 砂来陸