球技大会なんてそもそも誰が考えついたんだろう

そして何でソレはクラス対抗なんだろう




本日ハ晴天ナリ




ちゃんバレー得意?」

「・・・したことない」

微妙に会話が途切れてしまった

(だってしたことないもんはしたことないんだもん

 しょーがないじゃないですか・・・・)

知らない間に一大イベントが近づいてきていた

それが球技大会

女子はバレー男子はサッカーに分かれてそれぞれ優勝を狙って頑張る訳だ

(でも普通に3年有利に決まってるじゃん)

正直、は不機嫌だった

クラス対抗というところもだがそれ以上にバレーをやったことがなかったのだ

はバレー得意なの?」

不機嫌なとは違ってさっきから楽しそうにしている

「得意って程じゃないけど小学校の時よく友達とミニバレーして遊んだよ」

「そう・・・」

バレーというのは複数の人数でやるものだ

というわけでとても寂しい小学校生活を送ってきたにとってはこれまた無縁なものだった


「・・・あの三上さん」

「え?」

物珍しげにバレーを観戦していたはクラスメイトの声によって我に返った

声を掛けてきたクラスメイトはおどおど・・・といった感じで(おびえられてる?)

上目遣いで見上げられた

「・・・・三上さんってアタック打てる?」

アタック?

アタックってあのーバシッ!って相手のコートに打ち込むヤツですか?

「・・・ごめん。私バレーやったことない「けどこれから練習して出来るようになるって!」

は?

思いっきり私の言葉を遮ってとんでもなく無責任な事を言われた

言ったのは間違いなく

「ちょっと・・・」

バレー未経験者の私にアタックなんて無理っすよ

「大丈夫だよ!ちゃんなら!!」

うん、何の保証があってそんな事言われてるんだろうね



結局、の笑顔に押し切られるような形で私はアタックの練習を始めることになった

当然のことながら上手くいくはずは、ない


「うわっ!」

跳ぶタイミングが掴めずに何度か顔でボールを受ける羽目にもなったし

「あれ」

上手く跳べてもボールがネットを超えないし


さん。私には無理っぽいです」

「そんなことないよー。少しずつタイミング合ってきてるもん!」

そうやってもう何度も続けてきている

体を動かすのは好きだしもちろんバレーだって嫌い・・・ってわけじゃないけど


ただ


私が出来ないということでみんなに迷惑を掛ける事が嫌だった

だったら最初から期待されない方が気が楽で良い

可笑しいかなぁ


「大丈夫だよちゃん。

 頑張ったことは無駄にならないよ?」


いつの間にかがすぐ傍まで来ていた

視界の半分以上をが占める事なんてしょっちゅうだけど やっぱりびっくりした

「・・・じゃあもうちょっと頑張るよ」

「うん!」

腕まくりをしてもう一度ネット際に立つ

よし、もう一踏ん張りしましょうか

「み、三上さん」

「へ?」

気合いを入れたところで声を掛けられて間抜けな返事を返してしまった(返事というのか?)

声の主を見るとそこには数名のクラスメイトの女の子達

「何?」

普通に言ったつもりなのにちょっと怯えられた

・・・慣れてはいるけど結構、困る

「・・・あのさ、何か誤解してるみたいだけど

 これが私の素だからさ、出来れば・・・怯えないで欲しいんだけど・・・」

仲良くして、ってまでは言わないけど

せめて

普通に接して欲しい

嫌いたくないから

嫌わないで欲しい


小学校のクラスメイトはほぼ全員『嫌い』だった

好きになれるわけがない

クスクスという人を馬鹿にした笑い方

そのくせ絶対近づいては来ない

わざと大声で聞こえるように言われる罵声

そんなことをするクラスメイト達

明らかに私のことを嫌ってる人達だった

私は

自分のことを嫌ってる人達を好きになれるようなイイコじゃないから


だから

せめて嫌わないで欲しい


「アタックを打つタイミングは一・二・三って数えると丁度良いの!!」

「え?」

一瞬何を言われているのか分からなくてそのままちょっとフリーズしていたら

相手の子は顔を真っ赤にしていた

「ご、ごめんなさい!ちょっと緊張しちゃって・・・・

 アタックを打つときはトスが上がってから3つ数えると丁度良いくらいなの!

 それであ、あのっ決して怯えてるわけじゃないの!!ただ三上さんってすごく綺麗で大人っぽいから・・・・」

(いや老け顔なだけです)

思わず心の中でそう突っ込む

非道く拍子抜けした感じだ

「・・・一・二・三ね?」

顔を真っ赤にしたまま俯いてしまったクラスメイトに確認の意味でそう言ってみる

すると嬉しそうに頷かれた

「うん・・・っ!」

ふぅ、と一つ深呼吸してがトスを上げるのを待つ

そして数える

(一・二・三!)

まっすぐに手を振り落とす

バシッと乾いた音がして

ボールはネットを飛び越えて落ちていった

初めて決まった

「・・・入った・・・」



人に期待をされるのが嫌で

だけど実際は


「すごーい!!

 三上さん!すっごく綺麗に決まったよ!!」


私はどこか避けていたのかもしれない

人と馴れあうのを

本当は期待に応えられない自分が嫌で


「やったねちゃん!」

笑顔で飛びついてきた


私もつられて笑った


Next

-------------後書き------------------------------------------------------------------------------------------

いや〜久し振りに書いた気がします。本日ハ晴天ナリ
いい加減に更新早めなきゃね・・・

とりあえずクラスメイト(女子限定)とは仲良くなれそうな感じのちゃんです。
でも
そう簡単に事が運ぶわけないですよ♪
もちろんクラスマッチじゃ一難ございます

                                     12月5日 砂来陸