春休み

それは小学生でも中学生でもない

とても微妙なとき


玄関の呼び鈴が鳴って玄関に向かう

そこには

「よ。」

亮が立っていた




本日ハ晴天ナリ




亮が帰ってきた

「もぅ、せめて連絡くらい入れてよ」

「そんな暇なかったんだよ」

たかだか電話の一本も入れられないくらい忙しかったというのかコイツは

コーヒーが入ったカップを亮の前に置いて私たちは向かい合うように座った

「何日いられるの?」

「一泊だけだな。明日からは部屋移動なんかもあるし」

「あ、寮だもんね」

本当は一日だけか、って残念に思ってるけど言葉には出してあげない

・・・・・どーせあまのじゃくだよ

「おまえ、中学は何処行くんだ?桜上水か?」

コーヒーを飲みつつ亮が尋ねてきた

「あれ、言ってなかったっけ?私、飛葉中に行くことになったの」

「飛葉中?あんな遠いところわざわざ選んだのか?別にたいして面白いことあるわけじゃねーだろ」

お母さんが制服で選んでしまいました、なんて言えない・・・

「んーまぁそうなんだけど・まぁ。いいじゃん」

「まぁお前がいいって言うんだったらいいんだけどよ・・・・・・・・・」

一応、心配してくれてるんだよね?

私が小学校で友達関係がうまくいってなかったこと亮は知ってるから

「新しい学校ではちゃんとした友達つくれよ?」

頭をくしゃくしゃっと撫でられた

不器用ながらも亮流の励まし方

小さい頃から変わらない

「努力は、する」

口ではそんなこと言ってるけどホントは亮のその一言で元気になれるんだ

ってやっぱり口に出して言えません

トホホ



結局その後は私の部屋で雑談を交わして過ごした

お互いの近状報告も終わって気が付いたら時計は7時を指していた

そろそろ晩ご飯の支度を始めなくては

「ねー夜ご飯は何食べたい?・・・・・亮?」

亮がなかなか返事をしてくれないので

(寝てる・・・・・)

そっと近づいてみると亮は寝ていることが判明

(っていうかそこ私のベットなんですけど)

それも私のベットの上で

「あーきーらー?」

目の前で手を振っても呼びかけても全く反応無し。

(こいつ人のベットで熟睡してやがる・・・・・)

いっつも人のこと見下しててニヤリとデビスマを浮かべてる亮

(寝顔が可愛いし・・・・・・)

うにっとほっぺをつついてみる・・・・・・・柔らかい

何だか腹ただしいぞ

「亮」

返事はやっぱりない

だから

「いっつもありがとう。

 これでも感謝してるんだからね」

寝てる亮にそうポツリと呟いた

いっつも口に出して言えないのに寝てて聞いてないと思うと何故か言えてしまう

本当は寝てたら意味がないんだけど

私なりの精一杯だから

許してね?



「へーチャンは俺に感謝してるわけ?」

イキナリ手を引っ張られた

なっ

「お、起きてたの!?」

「まぁな」

あぁ〜っなんたる恥っ!!

「ちょっと手を離してよ!!ヘンタイ タレ目!!」

亮が手を握ってる所為で私は今亮に半襲っているような形(覆い被さるような形)になっている

笑えない状態です

「なっ誰がヘンタイだコラ!!」

「うるさぁい!!亮以外に誰がいるのよ!?」

顔を真っ赤にしながら必死の抵抗

「お前 それが偉大なるお兄様に対する言葉遣いか!?オイ!!」

「誰が偉大なのよっ誰がっ!!」

「あー!?俺以外に誰がいるんだよっ!」

「自意識過剰!!」

「あまのじゃくに言われたくねーよ!!」

そのままの体勢でよく分からない事を言い争い

それから何故かくすぐり合戦

無駄に体力を使って

そして

たくさん笑った





「ただいま〜」

この声はお母さん。今日は仕事早く終わったんだね

「あら?ちゃん誰か来てるの・・・・・・あっくん!?」

「おかえり、お母さん」

あっくんというのは言わずとしれた亮のことです

「おふくろ・・・・・いい加減その呼び方やめろよ」

「あっくんいつ帰ってきたの!?」

聞いちゃいねぇ

「やだー帰ってくる前はちゃんと連絡いれてって言ったじゃない。お母さんびっくりしたわ」

「ねー。イキナリ帰ってきても驚くだけだしね」

「こっちも色々あるんだよ。しょうがねーだろ」

「あっくん。いつからそんな生意気になったのよぉ」

お酒が入ってるせいかお母さんちょっと泣きそうです

「昔はあーんなに可愛くていっつも「ママ、ママ」ってくっついてきてたのにぃ」

「なっいつの話だよ!!」

「これっくらいのときぃ」

お母さんは親指と人差し指で間隔を作る

・・・・・お母さんそれじゃあまだ胎児の時ですか?

「ねーちゃん。あっくん昔は可愛かったわよねぇ?

 でもいつの間にかちゃんと一緒に居ることの方が多くなって・・・・・ねぇちゃん?」

えぇっ!何でそこで私にふるの!?

「だぁっおふくろ!!」

おぉ顔を真っ赤にして否定する亮の姿なんて・・・・・・貴重だ


ちょっと前まではこれが普通の風景だったのに

今では3人が揃う方が珍しいなんてね

やっぱり


ちょっとさみしいな



*次の日*

「じゃーな。次は良くても夏休みまで帰れねぇから」

「次はちゃんと連絡してよ」

「あー忘れなかったらする」

絶対しないね。この人は



一緒に住んでなくても

「いってらっしゃい」

ここが亮の家だから

「・・・いってきます」



春休み

それは

まだ中学生でももう小学生でも

どちらでもない微妙なとき



ちょっとだけ新しい自分を見つけて

そしてひとつ決心した

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--------------後書き--------------------------------------------------------------------------------------------------------

春休み編でっす☆
本当はこの話を書く気はサラサラなかった(爆)
でも冬休みの話を書いたとき、春休みには帰るとみかみんに言わせてしまったんで
書いちゃいましたv
さて、最後の決意とは何でしょうね?
一応答えは次回の一番最初の言葉が答えなんですけど(・・;)
ちょっとブラコン気味のヒロインを書くのは何故かこっちが照れくさい
ほら。センチメンタルなお年頃なのです(笑)

                                3月14日 砂来陸