飛ぶことに疲れたら 翼を休めればいい
君が
十分頑張ってるのを
私は
知ってるから
本日ハ晴天ナリ
ブランコが軋む音
それは亮がブランコから立ち上がった音だった
でも何も言わない
私は、余裕をみせてはいたものの内心ヒヤヒヤしていた
自分でもおせっかいすぎるくらいのおせっかい
亮がよけいなお世話だって感じるのも無理ないから
だから、このまま亮が私のことを置いて帰っても文句は言えないと思った
ブランコから立ち上がった亮を目で追うのは何だか未練がましく感じて私はそのまま動かないでいていた
ジャリと亮が砂利を踏む足音が自分の真後ろからする
次の瞬間、視界が傾いた
「え、わっ!?」
地震かっ!?それとも敵襲!?(敵って誰だよ)
ブランコの鎖を握っていた手はあっけなく離れてしまって私はブランコから後ろに落ちた
それも見事に重力に従っていたもので思いっきり
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・のハズだったんだけど
「あ、れ?」
頭をぶつけても可笑しくない、って思っていたのにそんな衝撃はいつまで経っても来なくて
不審に思って周りを見渡してみると とりあえず頭は上を向いてて視界は一面星空
わぁ綺麗!
じゃなくて
「色気のねー声」
・・・・状況を把握しましょう
かなりの至近距離からする亮の声で私はようやく冷静になる
どうやら私は地震にあった訳でも敵襲にあった訳でもなく、亮によってブランコから後ろに引きずり降ろされた(落とされた?)らしかった
そして衝撃が無かったのは亮が支えてくれてたから
っていうかこれは現在進行形で今も支えてもらっている
正しく言うと
ブランコから引きずり降ろされた(落とされた?)私は亮に後ろから肩を支えられ一緒になって地面に座り込むような形になっていた
いや座り込むっていうか完璧に座ってるね
視界の端では今まで私が座っていたブランコが誰も乗せずに揺れている
「・・・・亮?」
一生懸命首を回して亮の方を向こうとするが亮と目を合わすことは出来なかった
「おまえ おせっかい」
・・・分かってるよ
色気がないの次におせっかいという結構ぐさっとくるお言葉に何も言えなくなってしまった
「・・・・情けねぇよな 俺も」
ぽすっ
そんな空気音と共に肩には重み
そして
亮の温度
「情けねぇな」
後ろから抱きしめられるような形で
肩に乗っけられた亮の頭
髪がちょっとくすぐったかった
「・・・・・俺だってそれなりに努力してきたんだ」
うん
「名門って言われる武蔵森の10番だって言えるだけの」
うん
「だからくやしかった・・・」
うん
知ってるよ
十分頑張ってる亮を私は知ってるから
たぶん私達は
自分の事以上にお互いの事を知ってるから
反発して惹かれあう
そうやってお互いを補っているんだ
「なーんで分かるんだろうな」
「何が?」
ぽつり、ぽつりと言葉を零して
気持ちが落ち着いたのか、ようやくいつもの亮らしくなってきた
「誰にも弱音吐かなかったのによー・・・」
「亮って意地っ張りだからね」
まぁ私も人の事言えないけどさ。
私の場合は意地っ張りな上に強がりだからね。亮よりずっとタチが悪いよね
「いつもと立場が逆だな」
そうだなぁ
いっつも私が亮に励まされてるもんね
「たまには良いんじゃない?」
意地っ張りだけど良いところもたくさん知ってるから
励ますことも出来る
「・・・ねぇ亮」
「あー何だよ」
口調もいつもと同じで本当にいつもの亮に戻ったと思う
だからさ、
「そろそろこの体勢止めない?」
肩に乗っけられていた頭はもう無いけど相変わらず亮は私を抱きしめたままだった
別に嫌じゃないけどそろそろ暑いよ
「あーなんかお前のこの丁度腕に収まるサイズが丁度良くって」
「何ソレ」
腕に収まるサイズって私そんな可愛らしいサイズじゃないと思うんだよね
むしろ腕からはみ出るサイズ?
・・・・自分で言って凹むね
「それに抱き心地良いし」
それって遠回しに太ってるって言いたいのかな?
・・・・・
「えぇい!いい加減放せ!!」
「イテっ!何だよイキナリ暴れるなよ!!」
暴れたくもなるさ!!
何だよ抱き心地が良いって!?何気にセクハラ発言じゃん!!
「おまえ傷心のお兄様に対してもう少し優しくできねーのか!?」
「何が傷心よ!?もう十分元気じゃない!!」
夜の公園
人気は2人だけで
私と亮のよく分からない防戦は無駄に良く響いていた
飾らない素顔のままでいる
そんな貴方が
私は好きです
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・・・えーっと
いぇい!ビバ★ブラコンちゃん!!(第一声がソレかい)
なんか想像を超えたシスコン・ブラコンです。ちゃんもなかなか・・・・笑
そしてこんな夜はもうちょっと続きます。
次回はみかみんsideにて!・・・・予定ですがね
10月26日 砂来陸