まだしばらく余韻に浸っていたかったけど
私はその場を後にした
だってゲームセット
これ以上ここにいて恥を晒すよりは早く帰って御馳走を作ってあげたい
本日ハ晴天ナリ
「か?」
洛葉中すぐ傍のバス停で私はバスを待っていた
そして、あぁ試合本当に良かったなぁ、なんて感傷に浸っていたらイキナリ現実に戻された
「不破君。」
そこには不破君が立っていた
そりゃーここでついさっきまで試合をしていたわけだし桜上水の人に一人くらい会うかな〜なんて思ってはいたけど・・・
まさか知ってる人に会うとは思ってなかったな
不破君もバス待ちかな?
「何故こんな所にいるんだ?」
こんな所・・・まぁ可笑しいよね、私桜上水の生徒でもましてや洛葉の生徒でもないんだし
「ちょっと試合観戦に来てました」
試合観戦っていうか何て言うか・・・って感じだったんだけど一応試合は観たんだし間違ってはないよね?
「そうか」
そうなんです
微妙に沈黙が流れた
でも、不破君との沈黙は今回で2度目だし大して気にならなかった
・・・・無理に喋り掛けると意味の分からないこと口走っちゃうしな・・・私
それでも あ、と言いたいことを思い出して
私の方から沈黙を破った
「最後のPK戦すごかったね。私、すっごくドキドキしたよ」
ドキドキっていうかハラハラっていうか・・・とにかく未だに興奮から冷め切ってないのでイマイチ適切な文か分からなかったけどそう言った
「あぁ、俺も面白かった」
面白かった・・・面白かった・・・おも(以下略)
・・・・・・
まさか不破君の口からそんな言葉が出るなんて・・・・!
(うっわーすごい意外かもしれない
まさか不破君が「面白かった」なんて・・・そんなことは全然言いそうにない感じだったからかなぁ)
「?どうかしたのか」
「あ、いえいえ」
意外すぎて思わず絶句してしまった
って失礼だよね、不破君だって面白い、くらい言ったりするよ。たぶん・・・
「試合、お疲れ様」
「あぁ」
雨の中の試合は、きっと不破君にとって初めてだったんじゃないかな
晴れてるときより勝手が違って色々大変だったと思う
それでも
頑張ったんだね
お疲れ様
心の中でもう一度そう告げると
その言葉を早く将君にも言ってあげたくなった
お疲れ様
この言葉はもう定番になりつつあって・・・「ただいま」「おかえり」の次に言うコトバ
早く伝えたい
そう思っていたら丁度バスが来たので急いで乗り込もうとした
が、不破君の方は全く微動だにしなかった
「不破君は乗らないの?」
「部員はこれからミーティングがあるらしい」
あれ、そうだったんだ
じゃあ将君もすぐには帰ってこないんだな
えーっとじゃあ何作ってあげようかなぁ やっぱりカレー?
「」
もうバスに片足掛けていたら不破君に呼び止められた
首だけ回して不破君の方を見る
不破君は相変わらずの無表情だった
「今日来たことは風祭には内密なのか?」
内密って・・・一応否定はしませんが
「うん」
頷くと不破君は少し、考え込むような仕草を見せた
ほんの2,3秒
そしてようやく口を開いてくれた
・・・一体何を考えていたんでしょう?
「では今後来るときはもう少し簡素な格好をしてくることを薦める。今日は皆、注目していたからな」
・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・そう言えば私・・・サングラス着用したまんまじゃないですか?
「・・・・とってもありがたいアドバイスをありがとう」
うん、ちょっと泣きそう
そんなことを思いながらバスに乗り込んだ
余談だけど、不破君とはまたいつか話をする機会があるといいなと思った
「・・・あ」
バスの中でまだ解決してない事、を思い出して慌ててケータイを取りだした
アドレス帳から目的の人を捜し上げてメールを一通
顔文字とか、絵文字をあんまり使うのが好きじゃない私のメールだからかなり簡素なものだ
でも私がメールする相手で顔文字なんかを使うのってくらいだ
でもそれが私にとっては普通なんだよね
返信はすぐ返ってきた
(よし)
その返信メールを見て一つ、決心した
ちゃんと解決しなきゃ
ねぇ亮?
-----------------------後書き---------------------------------------------------------------------------------
・・・・やっと書き終えました
疲れた・・・無駄に疲れた・・・・
誰にするかで悩んで結局不破君でございます。
次回はみかみんの登場予定です。
10月9日 砂来陸