綺麗なままでいられるように

全部を洗い流してくれればいいのに

傘越しに空を眺めてそんなことを思った




本日ハ晴天ナリ




雨 あめ アメ

相変わらず天気はよろしくない

ついさっきまで晴れてたと思ったのにまた雨が降ってきた

(梅雨って嫌だなぁ〜・・・)

あらかじめ持ってきてた紺色の傘を差す

普段だったら透明の100均傘なんだけど買い物の時はちょっと大きめの傘を使うようにしている

買い物袋はビニールだけどやっぱり濡れるよりは濡れない方がいいから

「・・・そう言えば将君、試合どうだったかな?」

今日試合って言ってた

例の・・・水野君とやらは大丈夫だったんだろうか?

試合を見に行きたかったけど・・・何だか図々しい気がして結局行けなかった


どんな顔して見に行けばいいのか分からなかった


(これも全部亮の所為だ・・・馬鹿亮・・・)

ザーザー

雨が水たまりに落ちて生まれるクラウン

ポタリ

傘から落ちた雫のおかげで一層大きなクラウンが生まれる

路を歩きながらそれをボンヤリと眺めていた


ばしゃ!


「ひゃっ!」

自分のすぐ横を誰かが走ってきたおかげで水が跳ねた

あぁ濡れてしまった・・・でもズボンが少し濡れただけだし、まぁ大丈夫か

「ご、ごめんなさい!」

走ってきた誰かは私の声に立ち止まって(どうでも良いけど私はもうちょっと女の子らしい悲鳴は上げられなかったんだろうか)

戻ってきた

「いいえ・・・・・って将君?」

この聞き覚えのある声

むしろ聞き間違うはずのない声

ちゃん?」

やっぱり走ってきたのは将君だった

「もう試合終わったの?」

「う、うん・・・・」

じゃあ結構早く試合終わったんだな

「お疲れ様」

そう言って、将君の顔をちゃんと見るために傘を持ち直す

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

何があったんですか?


「将君どうしたのその顔!?」

顔って言い方は失礼か?

そんな事が頭をちらっとよぎったけど、んなこと気にしてる場合じゃない!!

何で将君のほっぺに殴られた後があるんですか!?

しかもかなり痛々しいですよ!?

「あ・・・これは・・・・」

喋ってても痛々しそうだよ!もしかして口の中が切れてるんじゃないだろうか?

しかもよく見ると手ぶらだし!傘持ってないよ!!

「や、もう喋らなくていいから!とりあえず傘・・・狭くて悪いけど入って?

 それで家に帰ったら手当てしよう?」

何があったのか分からないけど

とにかく今の将君に話させるのは酷な気がして

無理矢理傘の中にひっぱり込んだ


将君は申し訳なさそうに

だけど大人しく傘に入ってくれた

そんな将君に私の方が申し訳ない気持ちになってしまった





「いっ・・・!」

「ご、ごめん沁みる?」

「ちょっとだけ・・・・」

将君宅にて

とにかく消毒が必要だと思ったからかなり辛いだろうけどうがいをしてもらった

その間に私は救急箱から消毒液をひっぱりだした(もうどこにあるのか聞かなくても分かる馴染みっぷりに自分でちょっとびっくりした)

コットンにたっぷり消毒液を染み込ませて現在手当てにあたっているのですが・・・

(この傷ってどう見ても殴られた後だよね・・・)

傷があんまりにも痛々しくて手当てしてる私の方が泣きそうになってしまった

「とりあえずこれで良いかな?」

「うん、ありがとう」

何だか将君の笑顔はぎこちない

何があったんだろう


私で良ければ聞いてあげたい

でも

「・・・・あ。将君、足の方も結構酷いね」

視線を下に下げて入ってきた将君の足は特に指先がマメが潰れたりでこちらも痛々しかった

「ついでにテーピングしよっか」

しまいかけていた救急箱をもう一度開けてテーピング用のテープを出す

将君は殆ど喋らないままただ黙って私の手当てを受けていた


「・・・・水野君と喧嘩しちゃったんだ」

ポツリ、と将君は言った

「・・・・そっか」


どうして私は気付かなかったんだろう

将君は全然私のことを責めなかったし今までと変わらない態度でいてくれたから

きっと水野君とは仲直り出来たんだって

勝手にそう思ってたんだ


「水野君は・・・本当は桐原監督の事、大切だと思うんだ

 だけどいろんなすれ違いがある所為でお互いの気持ちをちゃんと言えないでいるだよ」

「・・・うん」

顔は上げない

テーピングをしながら聞く

「僕はどうすれば良かったんだろう・・・」

将君の声のトーンが下がったのが分かる

どっちの気持ちも分かって

中立の立場にいる将君


辛いよね

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴った

「あったぶん僕の友達だ・・・出るね」

「うん」


部屋に一人残された私

相変わらず窓からは雨が見える

玄関からは将君と・・・きっと将君のお友達と思われる人達の話し声が聞こえてきた


『友達』


友達っていうのは一体どうやって分かるんだろう

唐突だがそんなことを考えてしまった

目に見えないものだから




あ、そっか


将君の友達は帰ったみたいで将君はまた部屋に戻ってきた


その顔はちょっとだけ、だけどさっきまでよりは元気そうに見えた


「ねぇ将君」

「うん?」

それはとても簡単な事だったのかもしれない

「友達っていうのは何も良いことばっかりじゃないよね」

「え?」

でもそれはとても難しいことかもしれない

「黙って支えてあげるのも友達だけど

 言ってあげなきゃいけないこともある。喧嘩したって離れたって友達は友達なんだから」

友達だから一緒にいたいけど

それだけじゃ駄目なんだ


将君は部屋の隅に落ちてたボールを拾うと何だか考え込んでしまった

今の将君にはちょっと考える時間が必要なのかもしれない


そう思って私はそっと部屋を後にした

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----------------後書き-----------------------------------------------------------------------

うぅ〜ん・・・個人的には結構回復したつもりです。
でもやっぱ駄文だね〜トホホ

マンガを読み直すと色々書きたいシーンが増えてきて困ります;

早くみかみんとちゃんの・・・・も書きたいですねぇ
 
                                 8月31日 砂来陸