私、何でこんなことになってるんだろう・・・?
半涙目で私を見つめてるお姉さんの姿に冷や汗が流れつつそう思った
本日ハ晴天ナリ
学校が早く終わって、一回家に帰って着替えてからスーパーに来た
必要なモノを籠に入れていざレジに向かおうと思ったら今日は将君 学校で合宿だったことを思い出して
大量に買い込みそうになった晩ご飯の材料を戻しに行ったんだ
うん、
そしたら・・・
「どいてー!」
ガシャン!!
目の前を超スピードでカートが通り過ぎて特売として
積まれていたポテトチップス(コンソメ味)に突っ込んでいった
・・・・・・・
何事よ?
見事にひっくり返ってカラカラと寂しげな音を立てているカートと無惨な状態に陥っているポテトチップスにあわてふためく女の人
・・・・・ん?
女の人?
「あぁ〜やっちゃった・・・・」
情けない声を出しながらその女の人はトボトボといった感じでカートとポテトチップスに近づいていった
声を聞く限りさっき叫んだ人と一緒かな
って何見てるんだ自分
自分の持ってる籠はその辺の端っこに置いて私はその女の人に近づいていった
「あの、大丈夫ですか?」
困ったときはお互い様、って言うしね
とりあえず数メートル範囲で散らばっているポテトチップスを一緒に拾い集める事にした
「え・あ。どうも・・・・!」
「いえいえ」
その人は見る限り私より年上の女の人だった
茶色い髪にオレンジ色の口紅がよく似合っていて綺麗な人だな、って思った
ポテトチップスは意外にも早く片づけ終わった
「本当に本当にすみません!」
顔を真っ赤にしながら謝りつつ今度は自分の籠から飛び出した品々を拾い集めるお姉さん
「気にしないで下さい」
そんな返事を返しながら私もお姉さんの品々を拾い集める
魚の干物
タコ
トマト
椎茸
カニ
にんにく
茄子
・・・・・・
お姉さん一体何を作る気ですか?
「(闇鍋辺りが出来そうだな・・・)えっと、これで全部ですか?」
周りを見渡して、もう落ちているモノは無いか確認しながら手に持っている茄子を渡した
「あ、はいっ!ありがとう」
そんなにお礼言われるような事してないんで気にしないで下さい
うん、それが昨日の事だったんだ
それで今日もまた帰ってきてからスーパーへ行った
今日は着替える暇が無くって制服のまんま・・・動きにくいなぁ
えーっとそれでまた色々と食料品を買って
そうだ、また会ったんだ
あの女の人に
今日は昨日とは違ってちょっと沈みがちな表情をしててボ〜っと店の中を徘徊してた(ちょっと怖かった)
(・・・・どうしたんだろ?)
もともと性分なのか私はそうやって困ってる人を無視出来無くって
つい、
声を掛けてしまった
「あの、どうしたんですか?」
声を掛けるとお姉さんは驚いたように顔を上げて
「あ・・・・昨日の・・・・」
う〜ん昨日よりちょっと疲れてるように見えるな
「何かあったんですか?」
この一言
この一言がいけなかったらしい
だって
この一言を言った途端、イキナリ肩を掴まれたんだもの
ガシッ!!
「!?」
そして
「あのっ・・・・私に料理を教えて下さいっ!!」
WHAT?
「桜上水中の先生だったんですか・・・・・」
意外や意外 このお姉さん名前は香取さん。は桜上水の先生でサッカー部の顧問なんだって
「えーっとそれでさっき料理を教えてって言ったのは・・・?」
あぁちゃんと話は聞くんでそんな涙目で私を見ないで下さい・・・・
「実は今、部活で学校に泊まり込みの合宿をしてるの・・・・」
あー将君頑張ってるかなぁ
「それで・・・私がごはんを作ってるんだけど・・・」
作ってるんだけど・・・?
「なかなかうまくいかなくて・・・」
・・・もしかして昨日のアレで何か作ったのかな・・・・怖くて聞けない・・・・
「一体何を作ったらいいのかも分からないし・・・・・」
なるほどね。だから落ち込んでたんだ・・・・
確かに大人数を分を作るってなると何を作るか悩むもんね。
う〜ん・・・大人数かぁ・・・
「お鍋とかはどうですか?結構楽に作れるし・・・・(季節はずれだけど)」
「それは昨日作りました・・・・塩が足りないって言われました・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
ちょっと待て
昨日のあの材料で鍋になったの!?
何味!?っていうか塩が足りないって突っ込んだ人ものすごい強者だよ!
「他には何か良い料理ないでしょうか・・・?」
えぇ〜・・・・・・他に・・・・何が良いかなぁ?
大勢だからお皿は極力使わないモノが良いな(だって洗い物が大変だし)
うーん・・・・あ。
「カレーなんてどうですか?」
何のひねりもないけどキャンプなんかでよく食べられてる理由の一つに簡単に作れるから、と大人数で食べるのに適しているから、がある
そんなカレー
「えっと材料はジャガイモとニンジン・タマネギとお肉と・・・・」
「お肉は何がいいですか?!」
「普通は豚肉を使いますね鶏肉でもいいですけど」
私の言う言葉を一言一言メモしている香取さんの姿にちょっと苦笑しながらも
そこまで熱心になれることがすごいとも思った
「材料は適当な大きさに切ってですね、順番に炒めて・・・・」
「順番って言うと?」
「まずお肉を炒めてジャガイモとニンジンにタマネギ・・・・」
なるほど・・・とさらにメモを続ける香取さん
「部員は何人くらいいるんですか?」
「えっとだいたい20人くらい・・・?」
疑問系ですかい
「だったら材料はー」
そうやって色々教えて
なんとか作れそうだ、と笑顔で香取さんは言ってくれた
うん、よかった
と、そろそろ私の方が帰る時間になってしまったから材料を買うのは付き合えなかったけど・・・・
「あ、肝心な物忘れてました。カレーのルーは・・・」
「いやだ三上さん、いくら私でもカレーのルーを忘れたりはしません!」
あ、そうだよね、いくらなんでもルーを忘れたりはしないか。失敬
「それじゃあ私は先に失礼しますね。カレー頑張って作って下さい」
床に置いていた買い物籠を持ち上げて私は言った
「色々とありがとう!!」
ホントに嬉しそうに手を振ってる香取さん
私も照れながらも手を振り返して
(カレー上手くできますように)
と心の中で祈った
後日、カレーのルーの分量までしっかり教えてなかった事を私は後悔することになる
・・・・・さすがは香取さん
20人分を一箱で作ろうなんて・・・・・・
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何となく書きたい話、でした〜
お付き合いありがとうございました!!
夕子ちゃんは僕が大好きなキャラだったんで・・・v
次回は●●君とイキナリのご対面!の予定ですvv
なんと今回で「本日ハ晴天ナリ」が50話を突破しました!!すごいね!!
7月11日 砂来陸