「三上さん、初めて遇った時からずっと気になっていました。

 俺と付き合ってくれませんか?」

生まれて初めて告白をされた




本日ハ晴天ナリ




「で、オッケーしちゃったの??」

「うん・・・」

3年生の先輩に呼び出されて告白をされたのはつい昨日の放課後の事

への報告は伸びに伸びて次の日の(つまり今日)昼休みに屋上で、になってしまったのだ

ガラにもなく顔が熱くなるのを感じる

のいつもよりももっと大きくした瞳で見つめられて目のやり場に困った

「相手はどんな人だったっけ?」

「確か・・・野球部の部長だったと思う」

いつか朝練の時に会釈をしたような気がする・・・

「だったと思うってちゃんはその人の事知らなかったの?」

「うん。喋ったのも昨日が初めてだったし」

するとはちょっと困ったような顔をした


「何でオッケーしたの?」


がそう聞きたくなるのも無理はない

だって私自身先輩とは喋った事なかったし正直知らない人だった

それに言っちゃあ悪いけど別にこれといった特徴もない いわゆる普通の人だったのだ

それでも告白をOKしたのはー・・・


「だって・・・男の子に告白されたの生まれて初めてだったから・・・」


「嘘!?」

なんでそこで驚くの?

「え、ちゃんそんなに美人なのに男の子と付き合った事なかったの!?」

「いや、美人じゃないし」

ただ人より身長が高くて老け顔なだけだし・・・

「今まで男の子に好きとか言われた事なかったの?」

それは否定しない

すっかり存在を忘れていた飲みかけのジュースを一口含む

あぁちょっとぬるい

「私ってさ」

うんうんと身を乗り出して聞き入っているはちょっと怖い

「(たぶん)男好きな顔なんだよね・・・」

「はい?」

間抜けな声を出したを綺麗に無視して私は話しを続ける

「今までさ、大学生とか高校生とかからナンパはされたことあるけど同級生からは絶対嫌われてたの。

 そりゃあ同い年にしては私の方が背高かったし近寄りがたい感じがあったかもしれないよ?

 まぁクラスメイトと話す事なんでめったになかったけどさ(寂しい小学校時代)

 でも年上からナンパされるっていうのはよっぽど軽そうに見えるのか男好きそうなのかってだけじゃん!!」

そこまで一気に喋っての方を見るとはなんだか複雑そうな顔をしていた

何故?

ちゃんって恋愛ベタだったんだ・・・どうりでクラスの人達と喋らないわけだ。

 それに男好きそうなんじゃなくてやっぱり美人で綺麗だから年上の男の子が近づいてくるんじゃないのかな・・・?)

うぅ〜んと唸っているの心情は私には到底理解出来そうにない

しょうがないからまた、ぬるくなったジュースを一口飲んだ


ちゃんはその先輩と付き合っても良いって思ってるの?」

その質問にはすぐには答えられなかった


「え・・・えっと別に良いって思ってるよ?だって(今までナンパしてきた奴らと違って)普通の人だったし
 優しそうだったし・・・」

どうにかこうにかしどろもどろになりながらもそう言う

ドタバタタタタ・・・・・・!!

「「「っ!!!!!」」」

イキナリ屋上のドアが開いたかと思うと人がなだれ込んできた

そしてその人はよく見知った顔だった

翼にロク・五助。それからマサキにナオキ

何故だかみんなひどく慌てた様子で肩で息をしながらすごい表情で(そりゃあもう言葉にしづらいくらいに)私の方に詰め寄ってきた

無意識のうちに後ずさりしてしまう

「ど、どうしたの「おまえ野球部のヤツと付き合ってるって本当か!!??」

そんなに慌てて、と続けるつもりだったけどそれは言葉にならなかった。みんなせっかちだなぁ・・・じゃなくて!!

「何で知ってるの?」

え、私少なくとも自分から言ったのはだけなんだけど・・・?

「ホントだったんだ・・・・・」

ヘナヘナと力無くその場に倒れ込んだ翼

「え、え?どうしたの?」

みんなも同様、その場に突っ伏しだして私はどうしていいのか分からずに一人慌てた

ちなみには翼をタオルで仰ぎながら「だいじょーぶー?」なんて言っている



「おまえ何でそいつに告白したんだ?」

唯一まともに話が出来そうだったマサキが言った一言は少なくとも私が瞬きを忘れるには十分だった

私が・・・告白?

「どういうこと・・・・?」





転げ落ちそうになりながら階段を駆け下りて私は先輩の現在私の彼氏になっている人の教室に向かった

(訳分かんない・・・・!!)

マサキの話によると、どうやら

『告白をしたのは私の方で(それも頼みに頼み込んで)先輩と付き合う事になった』

ということになっているらしい

はい、ありえない

私の顔を見てギョッとしながら道をあけてくれる人達のことを思うと今の私はそうとうすごい顔をしてるんだろうな

でもそんなことを気にしている場合じゃない

先輩の教室の前に着くと笑い声と話し声が聞こえてきた

「・・・・で、アイツがどうしてもって言うから付き合う事にしてやったわけ」

「やるなーお前。あのすっげぇ美人な一年だろ?」

「まぁな。まぁ顔はいいからな」

「うらやましいぜ〜いつも椎名達と一緒にいるからてっきりサッカー部の誰かとできてると思ってたけどなぁ」

「あー俺も最初そう思ってたけどどうもアイツは俺にゾッコンみたいな?」

アハハ・・・・と教室に笑い声が響く


・・・・・・

アハハじゃないよ

一体何がどうしたらそこまで話が飛躍するの?

バン!と勢いよく教室のドアを開けてやると笑い声が一瞬止まった

そして先輩方の視線が一斉に私に集まる

「おぉ〜噂の彼女がおでましだぜ〜」

「あっついねぇー」

周りがニヤニヤと笑いながら楽しそうに野次を飛ばしてくる

そんなものには用はない


「先輩。ちょっと話があるんですけど」




先輩を人気の少ない所まで連れて行って私はようやく先輩と向き直った

「あの「俺も話しあるんだよな」

思いっきり私の話を無視して先輩の方がしゃべり出した

(落ち着け自分・・・・・)

思わず握りしめてしまった拳を隠しながらそんな暗示もどきをかけてみる

「おまえさー他の男としゃべるなよ」

「はい?」

今のは聞き返さざるを得ない事だった

は俺の彼女なんだからよー他の男と喋るなって言ってるの。特にサッカー部の奴らとはぜってぇ喋るなよ」

この男を殴っても良いですか?

つーか何様だよ!?神様??私の俺様な兄貴だってそんなことは言わないさ!!(たぶん)

隠したはずの拳がまた表に顔を出してきたのでフーッと細く息を吐く

そんな私の様子をみて先輩が「おい、返事は?」なんて言ってる

これで綺麗さっぱり気持ちに区切りがついた


「先輩、別れましょう」


迷いなんてない。あるわけ無い

は?と未だ理解出来てなさそうな顔をしている先輩をまっすぐと見据えて

「だから別れましょうって言ったんです。当然ですよね?
 誰が誰に頼み込んで彼女にしてくれなんていいました?誰が誰にゾッコンですか?
 私は貴方が嫌いになりました。
 というわけで別れて下さい。そしてもう二度と私の前に現れないで下さい」

半ば睨むような形でそう喋りきって私は先輩の前を通り過ぎた

通り過ぎようとした

「っおいふざけんなよ!!」

油断した

通り過ぎかけていた私の腕はあっという間に先輩に掴まれて引っ張られた

そして



キスされた



中学生になったら好きな人を見つけて

普通の恋愛をして

そんなのが夢だった

それが私なりの『理想論理』だった

Next

-----------------------後書き------------------------------------------------------------

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
自分で書いておきながら最後の一文に叫び声を上げたくなってしまいました
かなり遅くなってしまった・・・・(汗
久し振りの更新です。お待たせしてスミマセンでした(^^;)
さて、そんな久し振りの「本日ハ晴天ナリ」はまたヒロインは不幸です。
そして笛キャラが少ししか登場しておりません
一応この話は続きます

                               5月29日 砂来陸