此処が

スタートライン

一人じゃないよ





本日ハ晴天ナリ




「そうですか。いえ、わざわざ連絡してくれてありがとうございました

 はい。それじゃ・・・・・」

ピッと機械音がして繋がりが切れる

その音を聞いてようやくケータイを閉じた

「やっぱり駄目だったか・・・・・・・・」

今日は将君の初めての試合だった

新しい学校でやっとサッカーが出来るようになったのにその初戦が武蔵森で

2−3

「将君泣いたかなぁ・・・・・・・・・・・」

電話は功さんでホントに良い試合だったと涙声で言っていた

「ご飯作っといてあげようかな」

私は行かなかった

というより行けなかった

理由は将君のことを応援できる自信が無かったから

亮と戦ってる将君を応援なんてきっと出来ない

だから行かなかった

やっぱり亮に勝って欲しいって思うし

でも将君にも頑張って欲しいって思ったし

「色々複雑なんだよね・・・・・・・・・・・」

「何が複雑だって?」

独り言のハズなのに返事が返ってきて勢いよく後ろを振り返った

「練習を途中で抜け出したかと思えば何やってるんだよ」

愛くるしい瞳に見つめられて背中を冷や汗が伝う

「つ、翼・・・・」

「ケータイは持ち込み禁止だろ」

仰る通りで

忘れてましたが私、今サッカー部のマネージャー業の途中でした

「ごめん」

ここは大人しく謝っとくに限る

「ったく早く片付け手伝えよ」

「はーい」

ケータイはポケットにしまって駆け足でコートに向かう

「あ、翼」

「何」

「試合で負けてもサッカーキライにならないよね?」

「は?当たり前だろ。それくらいでキライになるような柔な神経に見える?
 まそれ以前に僕が試合で負けるなんて事無いと思うけど・・・・・・・・・それが何?」

意味が分からないといった顔をしている翼に軽く意味深な笑顔を見せて

そのままコートに向かった

後ろから「意味が分かんないんだけど」なんて聞こえる


家に帰ったら将君の大好きな唐揚げとカレーを作ってあげよう

残念だったねとか次があるよとか

そんな言葉はいらないと思う

ご飯を作っておいて

帰ってきた将君と功さんに

『おかえりなさい』

って言えたら十分だと思う


将君は負けて、きっと辛くて悲しいと思うけど

将君はサッカーが大好きだから

きっと大丈夫

きっと今日より明日、明日より明後日もっともっとサッカーが好きになってるんだ





しかし、現実はそんなに甘くないらしい

「どうしたんですか!?」

ご飯の支度をしながら将君と功さんを迎えたのはいいけど

将君は功さんにおぶられて帰ってきた

「どんな激しい試合したらこんな大けがするんですか・・・・・・・・・・・」

「ごめん・・・・」

足のねんざは見てるだけで痛々しいほど腫れていて

手当てする手が思わず震えた

冷やしながらテーピングをしていく

「体駄目にしたら元も子もないんだから」

「はい・・・・・」

軽くうなだれている将君

やっぱり落ち込んでるのかな


「ね、将君はサッカーが好きですか?」

いきなりの私の質問に将君は不思議そうな顔をした

「サッカーが好きでこれからも頑張ってくれますか?」

将君はやっぱり不思議そうな顔をしたけど

それでも



「はい」



と言ってくれた

お互い顔を合わせて笑う

可笑しいというよりそれは嬉しいって気持ちで



「それじゃあご飯にしようか」

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---------------------後書き----------------------------------------------------------------------------------------------

功さんが消えた!!(笑)
あぁもう文才なさ過ぎやん自分・・・・
一応武蔵森戦の話がなきゃ進まないかなぁって思って・・・(^^;)
しかも名前変換無いし
もぉ凹みまくりですよ(かはっ)

                              5月22日 砂来陸