一筋の煙立ちのぼりゆき
呪文唱えながら
瞳 閉じてゆく
お気に入りの唄が何故か頭から離れなかった
本日ハ晴天ナリ
「まぁ予想はしてたけどさぁ・・・・・・」
靴箱を開けて中を覗いたままは溜息を一つ吐いた
サッカー部のマネージャーになると決まって2日
正式にマネージャー届けをだしたてからはまだ1日しか経っていない
それにもかかわらず
「もう上履きが無くなるなんてね」
空っぽになっている靴箱
となればもはや自分の身に何が起こっているのか嫌でも分かる
目の前に広がる宇宙の空
受け入れるすべはまた
神話の中へと
「ちゃんおっはよーっ!」
「うをぅ!!」
横から入りました
何が?っての痛々しい愛がタックルとなって
「こんな所で何立ち尽くしてたの?」
抱きついた体勢のままが喋る
「んーなんか上履きが家出しちゃったみたいで」
真顔でぼけてみたり
「えっ大丈夫なの??」
「うん。事務室でスリッパ借りるから」
脱いだローファーも靴箱へは入れずには呆れたようにいった
悪いけど慣れてるからね
「一緒に捜そうか?」
「えっ」
こういう時に見つかる場所ベスト3
1.トイレ
2.ゴミ箱
3.ドブ
「・・・・・・・・・・気持ちだけ受け取っとくよ」
いくらなんでもにそんなところ捜して貰いたくないしね
別に気にするような事じゃない
そんな淡い期待を抱いてはに笑顔を見せた
揺らぐ陽炎 過酷な旅
道のりは遠きけど
後に 続け
が、現実はそんなに甘くないモノだ
イジメと呼べるほど大げさなものではないが嫌がらせ程度の事はもう数え切れないほど起こった
机の中にマネージャーを辞めろと書かれた紙が何枚も入ってたり←古紙としてリサイクルボックスに入れた
机に落書きされてるし←彫刻刀で彫ってないだけありがたいと思った
机の引き出しの所にカッターの刃が貼ってあったり←指先を軽くかすった程度で済んだ
階段から突き落とされそうになったり←わざとらしくごめぇんと言われた
「ちゃん翼ちゃん達に相談した方がいいよ」
時間が経つごとに何処かしら怪我をしている私を見ては心配そうに言った
「いいよ。翼達は関係ないし」
キッパリと否の返事をしておく
「でもそれってマネージャーする事になったからなんでしょ?」
自分の事のように痛そうな顔をしている
「それでも翼達には関係ない。マネージャーになったのは私だし。
これくらい平気だからもそんな顔しないで?」
そう、これくらいはまだ平気
それよりもここで負けるのは嫌だ
だてに小学校生活を耐え抜いてきたワケじゃないのだ
ほぼ一人で
だから
ここで弱いところ見せたりなんかしてやらない
まだ平気
バシャン!!
呼び出されてその場所に行ったらこの始末
水音がしたかと思うと皮膚が冷たいと伝え
そこでようやく制服もだいぶ濡れてると気付いた
「あんたうざいのよ」
「せっかく前忠告してあげたっていうのに」←いつぞやかの手紙の事ね
「どーせマネージャーだって監督に媚びいれてなったんでしょ!?
でなきゃアンタがマネージャーになれて私がなれないなんてあるわけないじゃない!!」
相手はどうやら翼の親衛隊様方で自分たちがマネージャーになれなかったのに私がマネージャーになったのが気に入らないらしい
「運動部に勧誘とかされていい気になってんじゃないの?」
「そんだけ体力有り余ってるなら私達のパシリでもやらせてあげよっかー?」
日当たりの悪いジメジメした校舎裏
きっと生徒もめったに通らないような場所なんだろう
「マネージャーさっさと辞めてよね」
「マサキ。ジャージ貸して」
濡れたまま廊下を歩き二年生の教室まで来たはもちろんこと目立っていた
「!?どうしたんだ?」
しかし、本人は大して周りの視線を気にしている様子はない
「ちょっとね。それよりジャージ貸してくれない?」
さすがに気持ち悪いからとは軽く言う
しかし、それはちょっとと呼べるモノではない、とマサキは思う
全身、スコールにあったような感じになっていてその上あちこちに蹴られたような痕まである
「何があったんだ?」
しかしはその問いには答えようとしない。ただばつが悪そうに視線を外してきた
そんな様子を見てタオルを投げてよこす
「まず拭け。今ジャージ取ってくるから」
本当はナオキに借りようと思ってたんだけどそうすると翼にばれそうだったから止めておいた
トイレで着替えを終えて
教室へと向かった
向かう途中やっぱり視線をたくさん感じたけどすべて無視する
歩いている間、先程のセリフが頭を巡る
「私はマネージャーを辞めますって言ったら大人しく帰してあげるって言ってるの。
ほらさっさと言いなよ」
乾く雨うるおす恵みはいつ
降り注ぐ熱波から
奪いかきまわす
「嫌です」
見下ろされるのが嫌らしく(私の方が身長高いんだからしょうがないのに)無理矢理私の事を地面に座り込ませ
取り囲むようにして私に声を投げかける
怯えてるって思われるのは癪だから瞳だけで睨むようにしてようやく一言だけ喋った
「私は遊び半分でマネージャーを決意した訳じゃありません。
なんで辞めなきゃいけないんですか?」
怖いなんて感情が無いわけじゃない。でも絶対それは悟られてはいけない
「なっあんた今自分がどんな状況にいるのか分かってるの!?さっさと謝れよ!!」
「っ!」
頭に血が上ったのかイキナリ腕を蹴られた
痛い
「調子乗ってんじゃねーよ!だいたい翼君に近づくためにサッカー部の取り巻き達にまず近づくなんて汚いマネしてんじゃねぇよ!!」
許しちゃいけない言葉を言われた
「それに翼君の親戚の子にも近づいたんだって?魂胆見え見えなんだよ!!」
その言葉に遂にカッとなってしまった
思わず立ち上がって正面にいたヤツの胸ぐらを掴む
小さくひっという声が上がったが知った事ではない
「マサキもロクも五助もナオキもも私の友達よ!!翼だってそう!人の友達を悪く言わないで!!
そんな風にしか人を見る事が出来ないヤツにそんなこと言われる筋合いない!!」
我を忘れて怒鳴りつけた
(あーぁ。いつから私、あんなに短気になったんだろ。
前は何言われても結構耐えてられてたのになぁ)
一応そんな事を考えてはみるもののあんな事を言われて耐え切れた自信は無い
それくらいは分かっているのだ
それでもつい考えずには居られない
(はぁ・・・もさらに心配するだろうなぁ)
涙目でどうしたの!?と来るであろう親友の姿を思い浮かべてさらに気持ちは落ち込む
もう何度目になるか分からない溜息を吐きながら教室のドアを開ける
「ちゃーん!!!!」
「ぐはっ!」
開けた瞬間、本当に開けた瞬間に本日二度目のの愛を喰らった
勢い余って尻餅を付いてしまった私の首に両手を巻き付けてぶら下がるようになっている
「ちょっと「ちゃん大丈夫!?ごめんね。私がちゃんと付いてあげなかったから」
声はすでに涙声になってしまっている
(相変わらず私はに弱いんだなぁ)
「大丈夫。の所為じゃないから、ね?」
首に腕を巻き付けたまま顔を伏せているの頭を軽く撫でてそう言う
「本当にゴメンね」
「私の方こそ心配かけてごめんね」
例え 朽ち果てて
全て 失くしても
きっと 悔やみはしない
「でももう大丈夫だよっ!放送部の人達に頼んだから!!」
「は?」
それってどういう・・・
『あんたうざいのよ』
丁度その時、ついさっき嫌というほど聞いた翼親衛隊様方の声が公共電波を通じて聞こえだした
『どーせマネージャーだって監督に媚びってなったんでしょ!?
でなきゃアンタがマネージャーになれて私がなれないなんてあるわけないじゃない!!』
「....................」
「私ね、自分の友達が辛い目に遭ってるのに放っておける程悪い子じゃないから」
そう言ったの笑顔はとても輝いていて何て言って良いのか分からなかった
『あんまり僕らを舐めないで欲しいね』
延々と翼親衛隊様方の放送が終わったと思ったら今度は翼の声がした
『、聞いてっか?』
ロクの声 後ろからナオキの関西弁も聞こえる
もしかしなくても全員集合してるらしい
『頭から水を掛けられたんだって?
でもそれくらいじゃ部活休ませてやらないからね。分かってるよね?』
ひねくれた命令口調に思わず笑みが零れる
それから、と放送は続いた
『もっと僕らの事を頼るように』
new frontier 辿り着く
迷い 続けてた
夜に 終わりを告げ
------------後書き------------------------------------------------------------------------------
マネージャー=イジメの図が頭の中で出来上がっています
ってことでちゃんイジメられ編をお届けしました。
すっげー長い・・・
マサキにジャージを借りるというのはめっさ陸の趣味ですね(きゃv)
あぁ借りてみたいわ(ヲイ)
5月5日 砂来陸