、念のために聞くけど何処に向かってるの?」

「え。グランドだけど?」




本日ハ晴天ナリ





午後の授業を終え、放課後と呼ばれる時間にと歩いていた

目的は、の言う『会いたいって言う人』に会うため

なのだが

「帰る」

ちゃん今更何言ってるのっ!?」

靴まで履いて校庭に出てきたのは良いがはそこからUターンを始めた

慌ててが袖を引っ張る

「会ってくれるっていったのにー!!」

「えぇい離して!

 確かに会っても良いって言ったけど何でグランドに向かうの!?

 しかもこっちってサッカー部の部室の方じゃない!
 
 まだ私は翼とは会いたくないの!!」

Uターンをして歩き出そうとしている私にそれを必死で止めようとしている

気分は大きなかぶのかぶの気分

「ちがうの〜会って貰いたいのは翼ちゃんじゃないの!

 だ〜か〜ら〜逃げないでぇ」

ほぼに引きずられているは必死の思いでそう言った

「翼じゃないの?」

ピタリと戻り掛けてた足が止まる

「うん、翼ちゃんじゃないよーだから行こう?」

翼じゃないのか・・・ホッ

「じゃあ誰なの?」

私に会いたいなんていう物好きは

「それはねー「

呼ばれた

自分が呼ばれたワケじゃないけど思わず振り返る

「あっお姉ちゃん」

「あんまり遅いから心配したのよ」

の名前を呼んだ人はとても綺麗な人だった

ショートカットの髪と紅く引かれたルージュが印象的だった

しかしそれ以上に

私はその女性にどこか見覚えがあった

(誰だっけ・・・・)

「あら、その子が噂の『ちゃん』?」

今までに向けられていた視線がいきなり私の方を向いた

目が合った

(あ)

「初めまして、ちゃん」

顔を真っ正面から見てようやく思い出した

私がまだ小学生だったときにテレビ越しで見たサッカー選手

Lリーグで活躍していたエースストライカー

「西園寺玲選手?」

名前を呼ばれて驚いたのか西園寺選手は目を丸くした

ちゃんお姉ちゃんの事知ってるの?」

そうに問われる

「だって有名だったし・・・・・・・・・・・・お姉ちゃん?」

聞き捨てならない言葉が後ろの方にあったような

そんな私の心情を察したのかは笑顔で

「うん、西園寺玲選手は私のお姉ちゃんだよ!」

思わず西園寺選手とを見比べる

2人は同じ笑顔だった




立ち話も何だからということで案内されたのはサッカー部の部室

勝手に入っても良いのか?と思ったけどと西園寺選手があんまりにも普通に入っていったからそう尋ねるタイミングを逃してしまった

しかし、そんな心配は無用なのだと知る

何故なら部室の中には既に翼がいたのだから

「改めて自己紹介させてもらうわね。
 
 私はの姉の玲、私のLリーグ時代を知ってる子がの同い年にいるなんて思わなかったわ」

椅子に座り、西園寺選手は優雅にそう言った

それに対して冷や汗が背中を伝っている私

(だ、だってあの西園寺選手だよ!?すっごい有名人なんだよ!!??)

「三上です・・・・・・・・・・・・・初めまして」

それだけ言うのが精一杯だった

そんな状態の私を見て玲さんはクスッと笑う その横でも笑みを浮かべていた

翼はというと私の方は一切見ようとせず頬杖をついてただそこにいた

「早速だけどちゃん。貴方もう部活動決めたかしら?」

何だろういきなり

「まだ。ですけど」

「じゃあサッカー部「入りません」

即答でした

すると玲さんはふぅと悲しそうな顔をした

あぁ・・・美人を悲しませちゃったよ!!

「それじゃあ理由を話してもらえないかしら? 何でサッカー部に入ってくれないのか」

なんですと?

目の前には笑顔に戻った西園寺選手の顔が

さっきのは騙しだったのね!!

まぁ、その辺はおいといて

チラリと翼の方を見る

どうやら翼はこっちを見てたらしく私と目が合った すぐそっぽを向かれたけど

ちょっとむかついた

「理由は翼君が知ってるはずなので」

そう言うと西園寺選手は目を丸くした

私は売られた喧嘩は買うっていうか攻撃的な人には攻撃的な態度を返してしまう

あぁ何て可愛げがないんだ自分と分かっていてももうどうしようもない事なのだ

「でも私は知らないわ」

またまた笑顔に戻った西園寺選手の顔がそこにはあった

さすがのお姉さん 以上の策士とみた

「話してもらえないかしら」


私の負け、かな

別に勝負とかしてたわけじゃないんだけどなんかこう雰囲気的に言わざるを得ないって感じで


小さく私は溜息を吐いて


「私の家って母子家庭なんですよ」

話し始めた

まずこの一言で翼が弾けたように顔を上げた

どうやら思い出してもらえたみたいだね

「学校が終わったら家事をしなきゃいけないんで毎日部活があるようなサッカー部に入る事は出来ません」



に聞いてた通り素敵な子ね

真っ直ぐと自分を見て喋るを見て玲は心の中でそう思った

翼達が馴染むのもよく分かる

相手に媚びる事なんて知らないように凛とした態度

きっと今までに知っている女の子達とはかけ離れている存在だろう

玲も少なからずに好意を抱いた

そして

(やっぱりこの子じゃなきゃね)



「それじゃあ土日だけで良いからサッカー部のマネージャーをやってくれないかしら?」

その言葉にはさすがのもポカンとしてしまった

しかし、言葉の意味を理解するとほんの少し眉を顰めて

「どうして西園寺選手はそこまでして私をマネージャーにしたいんですか?」

マネージャーはそんなに簡単な仕事じゃない

それがサッカー部みたいなハードで毎日ある部活なら尚更の事

それなのに

どうして私をマネージャーにしたいんだろうか

「だってあなたは翼達とも仲が良いみたいだしサッカーが好きみたいだもの。

 それに何より私もあなただったらやってくれそう、だって思ったのよ」

の顔が困惑に変わる

「そこまで言ってもらえるのは嬉しいですけど

 マネージャーという仕事はそんなに簡単じゃないと思います。

 私みたいに毎日来る事も出来ないような人間がする事じゃないと思うんです」

これが私の本音

サッカーが好き

でもそれだけじゃいけないって分かってる

毎日仕事をする事も出来ないようじゃマネージャーなんて出来ない

それでは結局

誰かに迷惑を掛けてしまうという事


「やっぱり私にはマネージャーなんて出来ません」


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やっぱり「本日ハ晴天ナリ」って普通の逆ハーとはかなりかけ離れたもんですよね
ここまでマネージャーを断り続けるって・・・
でもいいんです!それが轍の特徴って事で(^^;)
これからどうなるのでしょうか(聞くな)
あーだこーだ言って最近更新が遅くなってますね
その辺は長い目で見守って下さい(^^;)

もしよければこれからもお付き合いくださいっ!!

                                  4月29日 砂来陸