孤独とか不安とか 押しつぶされそうでも

なくなって いきそうな バランスを 保ちながら




本日ハ晴天ナリ




寝坊しました

「あっ、お母さん洗濯物は私が帰ってきてからやるから!!」

「そ、そう?じゃあお願いするわね!」

それも揃いに揃ってお母さんも

「お弁当は出来た?」

「うんっ昨日の残りを片っ端から詰めたから!」

バタバタと三上家の朝は慌ただしい

「ぎゃぁぁぁバスに間に合わないっ!!」

時計を見てまだパジャマのままなのに外に飛び出そうとする

「ちょっちゃん!!今日は車で送ってあげるから落ち着いて!!」

そしてそんなを必死で止める都さん

「鍵と免許ちゃんと持ってる!?」

ちゃんも忘れ物ないわね!?」

車に乗り込みながらそんなことを叫び合う

ようやく、車が発進した

「「はぁ・・・・」」

思わず溜息が出てしまう2人

(こんなに朝慌てたのって久し振りだわ)

いつもはニコニコと始終笑顔の都ママも今日ばかりはさすがに慌てた

「お母さん、安全運転でよろしく」

は都にそんな前置きをして鞄を足下に置く

そしてどこからかリンゴと果物ナイフを取り出すとさも当然のように剥きだした

ショリショリ・・・・・・

車の中に甘酸っぱい匂いが広がる

多少なりともある車の揺れはものともせずは慣れた手つきでリンゴの皮を剥いていく

「お母さんも食べるでしょ?」

綺麗に6等分されたリンゴを一切れをお母さんの口元へと運ぶ

都ママは目線は前へと向けたままリンゴにかぶりつく

「あひはほ〜(ありがと〜)」

も一切れ手に取りかぶりつく

結局お互い3切れずつ食べてしまった


かくしてこれが寝坊の日定番の三上家朝ご飯なのであった


(あ、マサキ)

ようやく学校へ着く、という頃に車の窓からマサキを見つけた

とても軽そうな指定鞄にとても重そうなスポーツバックを持って自転車に乗っていた

「お母さん、ここで降りるよ。知り合い見つけたから」

「えっちゃんのお友達!?どの子!?」

ちょっとお母さん前を見て運転して下さいよ

そんなの願いも虚しくお母さんは道行く中学生を目で追っている

「あの自転車に乗ってるの」

そう言うとお母さんは「ほぉ!」とよく分からない歓声を上げてわざわざマサキの傍で車を止めて下さいました


?」

「おはよう マサキ」

マサキはすぐに私に気付いてくれた(そりゃ隣で車を止められたら嫌でも気付くわな)

そして私へ挨拶を返しつつも目線は明らかに私の後ろを彷徨っていた

「貴方がマサキ君?」

そこには未だに車を発進させようとしないお母さん

それも窓を開けてわざわざ顔を出していた

あぁお母さんそんな笑顔の安売りみたいなことしないでくれ

「そーっすけど・・・・・・・・・・」

驚きながらもお母さんの問いに答えてくれるマサキ

そんなマサキの様子をお母さんはジッと観察し

「初めまして、ちゃんから話は良く聞いてるわ。マサキ君」

あぁもうマサキが止まってしまってるじゃないですか

「お母さん 恥ずかしいから止めてよ。マサキ、行こ」

普通本人を前にしてよろしく、なんて言う人がいるでしょうか?

あんまりにも破天荒?なお母さんなもので・・・・・・・・・・普通恥ずかしがるよね!?

「じゃ、ちゃん学校楽しむのよー!マサキ君、ちゃんの事よろしくねー!」

めげずに笑顔で手を振りながら去っていくお母さん

「・・・・・(恥ずかしい!)」

マサキなんて隣で必死に笑いこらえてるし



ついでだからと後ろに乗せて貰ってマサキと2人乗りして行くことになった

男の子と2人乗りなんて亮以来だよ っていうか重くないかな・・・?

の母さんってすげー面白いな」

「それはどーも」

端から見れば面白い、で済ませられることかもしれないけど実際娘から見れば頭が痛くなりますよ

「昨日はどの部にも捕まらなかったんだって?」

「んー何とか逃げ切ったよ」

ホントに疲れたけどね

今朝だってたぶん鬼ごっこが原因で寝坊したんだろうって言うくらい疲れたさ

ちょっと飛ばすからしっかり掴まっとけよ」

あぁ顔に当たる風が気持ちいいなぁ何て思ってたらいきなり ぐんっとスピードが上がった

慌ててマサキの肩に掴まる

周りの景色がまるで早送りをしているように変わっていく

あっという間に正門が見えてきた

ついでに言うなら部長さん達も

「落ちるなよ」

好きで落ちることはないと思うけどマサキがペダルを漕ぐスピード上げるから振り落とされるっていうのはあるかもしれない

部長さん達に見つからないように体を縮ませ(マサキを盾にして)

あっという間に正門を通過した



思いっきり部長さん達に見つかってしまいました

「三上さーん!!今日こそ陸上部へ!!」

「バスケ部は貴方を待ってるのよ!!」

「バレーこそ女の生き甲斐だぁぁぁぁ!!」

そして勇敢にも追いかけてくる部長さん達

マサキはそんな声に対して笑いがこらえきれないといった感じだった

「よ、人気者」

「喧嘩売ってるの?」

駐輪場に着いた途端私はすばやく自転車から飛び降りた

部長さん達とはまだ少し距離がある

さっさと教室へ逃げ込んだ方がいいだろう

「マサキありがと!」

「頑張れよ」

正直走りづらいローファー 知らず知らずのうちに顔を顰める

明日からはスニーカーを履いてこようと密かに決意する


教室のドアに手を掛けた瞬間に予鈴が鳴った

廊下から追ってきた部長さん達の落胆した溜息が聞こえる

どうやら逃げ切ったみたいです



昼休みも順調で

幽霊が出るという曰く付きの理科準備室に隠れ掴まらずに済んだ


(よかったぁ〜今日は吉日なのかも)

そんなことを真剣に思い思わず笑みが零れる




世の中はそんなに甘くないらしい


「三上さんよね?」

放課後、そう言ってきたのはちょっと化粧が派手で香水の匂いがきつい先輩方

それもご丁寧に教室まで迎えに来て下さってね

「話があるんだけど。いいわよね」

どーせ嫌なんて選択肢に入ってないんでしょ?




最近 翼とは全然喋ってないはずなのになー何で呼び出しなんてされなきゃいけないんだろ

タイムサービス間に合わないじゃん

「貴方、今朝マサキ君と一緒に学校に来たんですって?」

「・・・・・・・・・・」←今日の晩ご飯はどうしようかと考えている

「しかも自転車に2人乗りして」

「・・・・・・・・」←昨日は肉だったから今日は魚をメインしにようと決める

「何とか言いなさいよ!!」

「何とか」

あ、そう言えば洗濯物もしなきゃいけなかったんだ

「あんた私達のこと馬鹿にしてるの!?だいたい生意気なのよ一年のくせに!!」

スーパーおかめとひょっとこストアではどっちの方が安いかなぁ

「マサキはみんなのものなんだからね!!」

つーかマサキはものじゃないでしょ

あまりのお言葉に脱力すら感じてしまう

一年生で生意気ねぇそれはこの身長がですか?確かに呼び出した方が見下ろされるのは悲しいだろうけど

親の遺伝なんでそんなこと言われても困るんだよねー

「マサキに二度と近づかないって誓いなさい!!」

あんたはどこぞの女王様かっての

「ちょっといいですか?」

そろそろ帰らないと本当に間に合わないな

「何よ、言いたいことがあるなら聞いてあげるわよ」

何その勝ち誇った笑みは 

ばっちりメイクした顔に香水

もしやこれがマサキの趣味なんだろうか?と考えさせざるを得ない

まぁ今はそんなことどーでもいいか

「確かに今朝マサキと一緒に自転車に乗って学校に来ました。それが何か?

 私こんな訳の分かんないことで呼び出される筋合いは無いしこんな訳の分かんないことに付き合ってられるほど暇でも無いんです。

 遠回しに早く帰りたいって言ってるんですけど分かりますか?」

一応分かり易いようにゆっくり喋ってあげたんだけどなぁ

けばい先輩達は顔を真っ赤にさせて掴みかかってきた

「あんた生意気なのよっ!!何よ先輩に対する礼儀ってのがなってないんじゃない!?」

失敬な 敬語はしっかり使ってるじゃないですか

「だいたいアンタ何様のつもりなのよ!?マサキとはどういう関係なの!?」

何様かぁ〜亮だったら迷わず『俺様』とか『亮様』とか言うんだろうなぁ 私にはとても言えないね

「マサキとは友達です」

「嘘よっ!!そんなの信じないわ!!」

じゃあ どないせーっつーの

「信じないとか言われても困るんで」

「アンタの言うことなんて信じられるわけないでしょ!!」


「じゃあ俺が言ったら信じるのか?」

全く違う声がした

声がした方を見るとそこには

「マサキ」

部活中だったのか額にはほんのり汗をかいている

それに対しお姉様方は顔を真っ青にしていた(お化粧の上からでもはっきり分かるくらいにね)

「あ・・・黒川君」

さっきまでの威勢の良さは何処へ行ってしまったのかっていうくらいに怯えている声

「言いたいことあるなら俺に直接言えよ」

マサキがそう言うとお姉様方は一目さんに走り去っていった

ヲイ

大丈夫か?」

「買い物する時間が無くなった以外は平気だよ」

そう返してやるとマサキは笑った 私にとっては切実な問題だったと思うんだけど?

「怪我はしてねーかって聞いてんだよ」

あぁなるほど

「怪我なんてしてないよ」

それでも尚、心配そうに見てるマサキ

「ホントに大丈夫だって。後一日、私は逃げ切ってみせるから」

それくらい元気だよ?







そして、その言葉通り

朝と昼休みを上手くやり過ごして

私は3日目の放課後を笑顔で迎えられることになる


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---------------------------後書き-------------------------------------------------------------------------
やっと書き上がりましたよ!!
みなさん長らくお待たせしました、といった感じです
でもやっぱり駄文になってますが(^^;)
色々抜けてるところもあるんですがマサキが来たのはたぶんちゃんが呼んできてくれたんだと思うんですよね
で助けてくれたと。
いやちゃんのことだから1人でも逃げ切ったかも(笑)
最後にもあった通りちゃんは無事3日とも逃げ切りました!!
あえて3日目の話は書かないんでご了承下さい。
でも、これでこの争奪戦話が終わるとは限らないんで☆
                                       4月17日 砂来陸