「ってよく考えたら私なんかをほしがってる部活があるかって話よね」
本日ハ晴天ナリ
素晴らしく意気込んでバスに乗り込んだのは良いが冷静に考えたら自分を欲しがっている部活なんてないんじゃないだろうか
(うわーなんかすっごいマヌケっぽい)
そう考えると自分はかなりの恥をかくことになるだろう
(ここのところ良いこと無いなぁ)
今月の自分の運勢は最低なんだな。なんて思いながら
ふと、窓の外を見ると河原でサッカーの練習をしている将君がいた
時折転びながらも必死にボールを追いかける将君の姿はとても目が引きつけられた
(やっぱり・・・・・・・・・・学校行かないのかな・・・・・・・?)
詳しいことは知らないけど将君は昨日、学校で何かあったらしい
-回想モード-
「将君学校どうだった?」
にっこり
にっこり
「ちゃんこそ学校どうだったの?」
にっこり
にっこり ←は絶対零度の会話を身につけた!!
「お互い頑張ろうね・・・・・・・・・」
「うん・・・・・」
こんな会話をしたのはつい昨日の夜の事
(転校初日から大変だよね・・・・・・)
サッカーがしたくてわざわざ転校までしてきた将君
本当に本当にサッカーが好きなんだって私は知ってるから
頑張って欲しいと思った
(よし、私も頑張ろう!)
頑張っている将君の姿に影響されてか自分も意気込む
が
(だから私を欲しがる部なんて在るの?)
冒頭に戻る
「たまには裏門から行くか」
いつも降りるバス停よりひとつ前の所で降りて(運転手さんに不思議そうな顔をされました)
(ね、念のためね。まさかでも私のこと欲しがる部なんて無いと思うけど)
誰に対してそうやって言い訳をしているのかも分からないけど
いつもは正門からなんだけどは初めて裏門から登校してみた
結局、教室に着くまでの間にどっかの部長に遇うことも
もちろん部活勧誘に遭う事もなかった
(もしかしなくても私すっごいマヌケじゃん)
何事もなく自分の席に着くことが出来たのを嬉しいやら悲しい?やら
(もう忘れよう。そして平凡な中学校生活を送ろう〜)
何を今更。もう遅いよ。なんてつっこみはいれないように
「あれっ?ちゃん!?」
机の上に突っ伏していると大音量で名前を呼ばれた
毎日のように聞いているソプラノともアルトともとれない声
「おはよう」
小さく二つに結んだ髪をふわりと揺らしながらはの前までやって来た
「おはようちゃん。ね、どうやって教室まで来たの?」
「?」
「正門の所にいっぱい部長さん達が立ってたからてっきりちゃんはまだ来てないって思ってた」
なんですと?
「そろそろ予鈴なったし部長さん達も引き上げてる頃だろうけどねー。
あ、ほら」
が指を指した窓の方を見るとそこからは落胆に満ちた表情の3年生達が数名いた
「・・・・・・・・・・」
「ね」
裏門から行って良かったと思いました
「ちゃん今の内にお昼ご飯食べといたら?」
時は流れてあっという間に4時間目
先生が出張だとかで入学早々自習
と言っても殆どの生徒は課題なんてやらずに喋ってるけど
「え、何で?」
一応ながら授業中だしまだおなかだってそんなに空いてない
「だって昼休みは丸々争奪戦でしょ?食べる暇なんてないよー?」
忘れてましたとも
「(早速お昼ご飯を取りだして)でも私なんて欲しい部あったんだね」
「だってちゃん運動神経良いもん。それに身長だってあるし」
運動神経が良いって言うかただ体力が有り余ってるだけで身長だって親譲りの不可抗力ってもんなんですけどね
「三上さーん!!あなたのその身長をバレー部の為に生かしましょうー!!!!」
嫌です!!
「三上さん!あなた昔バスケットやってたんでしょう!!??だったらバスケ部に入りなさいー!!!!」
何で知ってるんですかバスケ部の部長さん!
「陸上部に入る運命なんだぁ君はー!!!!」
何でですか!!
律儀に心の中で突っ込みを入れつつ(それも一応先輩だからと敬語で)は逃げていた
数多の部活動キャプテンから
授業が終わり、即座に靴に履き替え外に出た
予想通りの鬼ごっこになった
ただし普通の鬼ごっこと違って鬼が複数なのだが
(意外に逃げ切れるものなんだ・・・・・・)
途中で隠れたりすれば何とか逃げ切れるモノだと分かった
お弁当を前もって食べていたおかげが一応逃げ切っている
そして
キーンコーンカーンコーン・・・・・・・・・・・
「やったぁ!!」
三上争奪戦1日目 勝者:三上
「ちゃんおめでっとう!!」
ドスッ
後ろから強力なタックル(いや痛くないけどさ)
「ありがとう」
(逃げ切れて嬉しいけどかなり疲れた・・・・・・・・・)
逃げるときは本当に全速疾走したのだから当然と言えば当然なのだが
おかげで午後の授業は居眠りしてしまったことは言うまでもない?
(あーもう疲れた)
帰りのバスでは何故か異常なくらい人が乗っていて座れず、しかも人の波に押されて一つ前のバス停で降ろされ
はかなり疲れ果てていた
フラフラとした足取りで自分の家へと向かう
「あっちゃん!」
「あ、功さん」
エレベーターを上がったところで功さんに遇った
というより功さんは待っていたみたいだった
「どうしたんですか?」
「ちょっと手伝って欲しいんだ!」
「は?」
有無言わず風祭家に連行されてしまいました
「おにぎり?」
「そう!将のヤツ本当にサッカー頑張ってるからさ、お兄ちゃんとして俺も何かしてやりたくって」
ちょっと照れた笑顔でそう言った功さん
そして更に驚いたのは部屋がすごく綺麗に片づいてて洗濯物なんかもちゃんとしてあって
思わず聞いてみると
「将にみっともないところばっかり見せてらんないだろ?」
だって。
「功さん、白ご飯炊きあがってますよ?」
「おっと!」
お互い補い合って
「ああっ功さん手に水付けてからじゃないと!」
「えっ水なんか付けて平気なの!?」
「水付けないとご飯が手にくっつきますよ!!」
それは見返りなんかを求めてるわけじゃなくて
「中に入れる具はあるんですか?」
「一応この辺に準備してある物を入れるつもりなんだけど」
ただ本当に支え合うだけ
「功さん、さすがに干しぶどうとマーガリンは止めましょうよ」
「ええ〜」
「さすがの将君も胸焼けしますって(問題はそこじゃないけど)」
そんな兄弟の将君と功さん
「よし、完成!!」
「お疲れ様でした。きっと将君も喜んでくれますよ」
なんだかとっても いいな、と思えた
・・・・後で亮に電話でもしてみようかな
さぁ、後2日。逃げ切ってみせましょう?
------------------後書き---------------------------------------------------------------
やっと更新できたぁ!
長々とお待たせしてしまってすみません(−−;)
どうやって原作と絡ませるかで悩んでしまったんです・・・
ここまで読んで下さった貴方!本当にありがとうございました!!
これからもお付き合いいただけると幸いです(^^)
4月12日 砂来陸