あぁ。誰かに似てると思ったら
翼に似てるんだ
本日ハ晴天ナリ
横にいるを恨めしく見下ろすと、は頭に?マークをつけて軽く首を傾げてきた
それも極上の笑顔で(この子は策士だ)
「まずは入学おめでとう。」
天使の笑み(私には悪魔の微笑みにも見えるけど)を浮かべて翼は言った
「ありがとう。翼」
こちらも対抗して笑顔・・・・・のつもりだけど顔が引きつってたと思う
さて、これからどうなるのでしょう
「ま、とりあえず座れよ」
そう言ってくれたのはマサキだった
翼ばっかりに気を取られていたから気付かなかったけど実はマサキとロクもいた
ん?五助はいないみたいだけど・・・・・・
座ってといわれてなんですがぶっちゃけ出来ることなら今すぐここから逃げ出したい心境に駆られていた
・・・・・・が手を握っているから無理なんですよね
「デハ遠慮無ク座ラセテ頂キマス」
と隣同士で座って、これまた嫌〜なことに翼の正面になってしまった
「で?何でココだって言わなかったんだよ」
何でって・・・・・・『平凡な学校生活を送るには翼達が邪魔だから』なんて口が裂けても言えまい
「聞かれなかったから言わなかっただけ」
お弁当の包みを開けながら私はそう言った
そう言うと翼はグッと黙った。
うん。だって私は嘘は言ってないし。むしろ当然のことだし
「それより私はと翼達の関係の方が気になるんだけど」
綺麗に巻かれた卵焼きを口に入れる寸前だったは私の視線に気付いて
何故か「はい」と卵焼きを食べさせてくれた
「あ、美味しい・・・・・」
って違う違う←卵焼きを飲み込んでからやっと気付く
その光景を彼らが呆然と眺めていたことは言うまでもない
「翼ちゃんとはね、ハトコにあたるの」
ぶはっ
思わず飲みかけていたお茶でむせてしまう
「えっちゃん大丈夫??」
一生懸命背中をさすってくれる。ありがとよ
・・・・・・・・・・じゃなくて!!
「つ・・・・翼ちゃん?」
なんて似合う響きなんだ・・・・・・・・・!!
ちらりと視線を翼に向けると
翼は諦めたような顔で『カルシウム二倍!おいしいモ〜』とパッケージに書かれたイチゴミルクを飲んでいた
「で、今は同居「居候中なんだよな」
思いっきりの言葉を遮って翼が笑顔で言い放った
ニコリ
ニコリ
私達(マサキ達を含む)には意味の分からない笑顔の往来が翼との間で行われた
ただ言えるのはその場の温度が2度くらい下がったということ
「じゃあちゃんもサッカーするんだね」
「うん。ゴールキーパー専門だけどね」
それから私は教室同様、の質問攻めに遇いながらお弁当を食べた
「は?サッカーしないの?」
「ん〜見るのは好きだけどプレイはしないなぁ」
へぇ・・・・・・・・
「見るのはじゃなくて写真を撮るのは。だろ」
横から翼が乱入
「え、って写真好きなの?」
ちょっと意外だったからに聞き返す
その時、翼とマサキが嫌な顔をしたことは見落とさなかった
「うん。写真撮るのは大好き!」
何で翼とマサキが嫌な顔をしたのかは分からなかった
「五助とナオキ遅いな」
ナオキ?
「ったく何処まで昼飯買いにいってんだか」
あぁ五助はお昼ご飯買いに行ってるからいないんだ
でもナオキって?
「ねぇ。ナオキって誰?」
煮豆を頬張りつつ私は尋ねる
するとみんなとても意外そうな顔をした
「あー・・・・・・はナオキのこと知らないんだっけ」
「あいつここのところフットサル場に行ってねぇしな」
話を聞いているとどうやらナオキというのは翼達の友達でサッカー仲間らしい
そういえば初めてフットサル場で遇ったときそんな名前を聞いたような気がするなぁ
「なぁなぁってぜってーナオキの好みじゃねぇ?」
イキナリ何を言い出すんですかロク
「あ、俺も思った」
おいおいマサキまで
「ちゃん美人だもんねー」
ねーって・・・・私はどう返せばいいのさ
一体ナオキってどんな人なんだろう?
「ナオキの所為で遅くなったじゃねーか!」
「なんでや!?五助かて立ち読みしとったやないか!!」
屋上の入り口から大きな声が聞こえてきた
「やっと来た」
翼がハァとため息を吐く
「おせーぞ。もうみんな食い終わったぞ」
ロクも叫ぶ
ナオキという人がどんな人なのか気になってドアの方を振り返る
「おー!じゃねぇか!!本当にここに来てたんだな」
まず入ってきたのは五助
「ん。晴れて飛葉中の生徒になりました」
五助は嬉しそうな顔をしながら後ろを振り返った
「おいナオキ!こないだ言ってた!来てるぞ!!」
こないだ言ってたって・・・・・一体何を言ってたんですか
「マジで!?」
そう言って五助の後ろからもう1人男が出てきた
「ー紹介するぜ。こいつがナオキ」
「井上ナオキいいます!今後ともよろしゅうに!」
『世間は狭い』
その言葉を今日ほど実感したことはないだろう
金髪に関西弁を話すナオキというヤツは
いつぞやかのイエローモンキーだった
イエローモンキーもといナオキの顔が青ざめていく
そりゃそうよね、一度ナンパして思いっきり振られた相手が目の前にいるんだもんね
だけどピンチを催しているのは私も一緒
「初めまして。翼達に話は聞いてると思うけど三上です」
出来るだけ笑顔でそう言っておいた
そこで予鈴が鳴る
「あ、ちゃん。そろそろ教室に戻らなきゃ」
来たときと同じようにが私の手を引く
反対の手に空になったお弁当を持って
「じゃ。また」
とみんなには軽く挨拶しておいて
半分放心しているイエローモンキーもといナオキの横を通る
あ。
「お互いあの時のことは忘れましょうね」
そっと
ささやくような声でイエローモンキーもといナオキに告げた
イエローモンキーもといナオキがどんな反応をしたのかは分からなかったけど
間違っても自分がナンパで失敗した話を好んで話すようなヤツはいないと思うから大丈夫でしょ
それにどちらかといえば向こうにとっては好都合だろうし
はぁ。こんなんで私の「平凡な学校生活」は送れるんでしょうか?
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入学して2日目
なんだかとっても疲れました(−−;)
うぅ〜早く続きを書かなきゃと思っていたのに全くを持ってダメダメな陸です。
見捨てないでくれるとありがたいです
なんでマサキ達が嫌な顔をしたのか後日知ることになります