バスの中からクラスメイトの女の子達が帰宅してる姿が見えて

なぜだか隠れてしまった




本日ハ晴天ナリ





『題名:無題 
    今日部活ある?』


バスの中からマサキ宛にそうメールを送ると返事はすぐ帰ってきた

『送信者:マサキ
 題名:Re
    今日は自主練。五助が補習』

ありゃ。この間言ってた課題テストってやつがそんなに悪かったのかな?

じゃあどうしようかなぁ

出来れば全員に手渡ししたいけどまた今度ってなったらチョコもおいしくないだろうし

そんなことを真剣に悩んでいたらいつの間にか飛葉中の前に到着していた

まだ決まった訳じゃないけど、だからといってこのまま通り過ぎるわけにも行かない

「降ります」

そう言ってとりあえずバスから降りた






何でしょうこの状況


飛葉中の正門前までやってきたは目の前の光景に唖然とした

正門の前には人人人とにかくたくさんの女の子達が群れをなしてそこにいたのだ

よく見るとみんな手には「翼君へ」とか「椎名君へ」とか書かれた包みを持っている

(この人達みんな翼の追っかけなんだ・・・・・)

「きゃっ翼君が来たわよ!!」

「椎名君ー私のチョコ受け取ってー!!!!!」

「あっ抜け駆けは禁止よ!!会員ナンバー031!!」

会員ナンバーってなんですか

「そう言うあなただって今にも走り出しそうな勢いじゃない会員ナンバー088」

(会員ナンバーってもしかして翼のファンクラブ?

 うっわーありえない
 
 それに088って最低88人はファンがいるってことデスカ?)

あまりの熱気?に近寄りがたかったは少し離れたところからそんな光景を見ていた

するといきなりの大歓声

「椎名君。コレ受け取って!!!」

「ずるいっ翼君私のも!!」

「ちょっと誰よ私の足踏んでるの!椎名君こっち向いてー!!」

女の子達の波(狼の群れとも言う)の隙間からかろうじて翼の姿を見ることが出来た。マサキとロクもいる



気付いてくれるかなぁ



あんなに女の子がいる手前目立つ行動は控えたいはそのまま動かず

目だけで翼達の行動を追った

「うるさいなぁ だからいらないっていってるだろ!?頼んでもないのに勝手なことするなよ!!
 だいたい校門の前でこうやって待たれるのって迷惑なんだよね。まぁ普通に考えれば分かることだけど」

出た。翼のマシンガントーク

でも相手が女の子だからちょっと控えめっぽいけど

ん?私の時は遠慮なんて無かったような気が・・・・・・・やめよう。これは考えるだけ悲しい




?」

最初にの存在に気付いたのはマサキだった

「や。」

片手を軽くあげて挨拶をする

「おまえどうしたんだよ。学校に来るなんて」

マサキとロクはそう言いながら私の方へ来てくれた

「ちょっと寄ってみたんだけど何だかすごいことになってて ここで立ち往生してた」

「あー すげぇよな翼」

「ったく不公平だよなぁ翼はもう嫌ってほどもらってるのに俺は一個ももらえなかったんだぜ」

女の子達にもみくちゃにされてる翼を見ながらロクは言う

てか一個ももらえなかったんだ・・・・どんまいロク


さて、達がとてもにこやかに(にこやかなのかはよく分からないけど)会話を繰り広げているとき。翼さんはというと?

マサキ達に遅れること5分どうにか女の子の群れを押しのけて出てきた

!?」

「あ、翼生きてる?」←なんて非道い挨拶だ

最初は普通に喋っていた

しかし

女の子の群れの視線が一気にへと向けられる

それも今にも噛みつかんばかりの勢いの痛々しい視線を

冷や汗がタラリと背中を伝う

もしかしなくても嫌な予感がするんです

「ちょっとあなた翼君とどういう関係なの!?」

「それに呼び捨てで呼び合うなんて!!!・・・・・うらやましい」

「翼君はみんなのものなのよ!!」


大当たり〜

我ながら嫌な予感というものはよく当たる

女の子達(狼の群れとも言う)はものすっごい勢いと顔で私たちの方へ迫ってきた

目標は間違いなく私

逃げたいんだけどなんだか足が動かない。 すくんでるって言うのかな



やばい



もうどうしたらいいのか分からなくなって ギュッっと目を閉じる




え?




いきなり体に振動が来た


恐る恐る目を開けてみると

「ロク!?」

ロクが私の手を引っ張って走っていた

いや走っているっていうか私は引きずられてるって感じなんだけど。

横を見るとマサキと翼もいる。というか一緒に逃げてる

「おまえ何ボーっとしてるんだよ!!喰われるぞ!!」

喰われるって・・・あれを猛獣かなにかと勘違いしてません?



「ありがと。ロク」

翼親衛隊(命名・)を何とか撒いてようやく落ち着いた

ロクはずっと私の手を引っ張って走ってくれた

(大変だったよね)

半失神気味だった私の手を引っ張ってくれてたんだもん。絶対大変だったに決まってる

「で、は何しに来たんだよ」

「あ」

マサキに言われてやっと思い出した

「これあげようと思って来たんだ」

バックの中からラッピングされた包みを4つ取り出す

「いつものお礼も兼ねて」

まずはマサキに

「はい」

「サンキュ」

次はロク。ロクには二つ

「ひとつは五助に渡してね」

「ありがとな!」

そして最後に翼

「はい。・・・・・あ」

渡しかけてそこでの手が止まった

「?何だよ」

いささか不安そうな声の翼

「翼・・・いる?」

さっき翼親衛隊に「いらない」って言ってたのを思い出してあげて良いのか迷った

翼もそれを察したのか一瞬「あ」って顔した

(どうしよう いらないって言ったらロクに二つあげようかな)

チョコを乗せた手を半分出しかけたまま止まっていたら

のは、いる」

そうパッとチョコを取られた


多少強引な気もしたけど

ある意味 翼らしいなって思った




「フットサルやっていかねぇの?」

「うん。まだ行くところがあるから ごめんね」

ロクのせっかくの申し出も断って



さぁ。お兄ちゃんに会いに行きましょう




教訓・恋する乙女は狼よりも怖い




Next

--------------後書き-----------------------------------------------------------------------------------------

バレンタイン「飛葉中編」でした
長かった(^^;)予定よりも随分長くなってしまいました
今回は五助がでてきませんでしたね。色々訳があるんですよ
理由が知りたい方はこれからもおつきあい下さい

                               2月13日 砂来陸
                               (6月15日修正)