僕たちはすぐに立ち止まる
全てを受け入れるほど 強くない
そんなのは最初から分かってたこと
本日ハ晴天ナリ
「翼 連れてきたぜ」
マサキがそう言うと翼達は一斉にこっちを向いた
で、マサキの時と同じようにまた驚いた顔をされた
(やっぱり私何か変デスカ!?)
口をぱっくり開けたまま固まってる畑兄弟には居心地の悪さを感じた
「、ここに座れよ」
誰も言葉を発さないからそのまま立ちつくしていたらマサキが席を指さしてそう言った
なんとまぁ素敵なことに翼のお向かいさん
(まぁしょうがないか)
今日の私には正直 発言権なんて有りそうにない
おとなしく従い翼の正面に座る
さてこれからどうなるのでしょう
「(まずは)ごめんなさい」
マサキの遺言(違)通り私は真っ先に謝った
それもちゃんと頭を下げて
それが始まりの合図だったらしい
「全くだね。だいたい何で男のフリなんてしてたの?ただ何となくなんて言わないよね?
俺たちのことを騙して何がやりたかったのか知らないけど騙されてた方の身になったら?
かなり気分悪いんだけど。それに挙げ句の果てにはもう来ない?それも言い逃げで
自分勝手な行動もいい加減にしてよね。あーぁ何で僕がわざわざ部活休みにしてまでこんな所に来なきゃいけないんだよ」
なんだかものすごい速さでものすっごい内容の言葉を浴びせられて気がする
ううん気がするんじゃなくて実際に浴びせられたんだよね
話が違うじゃない、っていう目でマサキの方を見たらマサキも冷や汗を流しながら私の方を見ていた
「なんだよその瞳。言いたいことあるなら言えば?まぁ言えるもんなら だけど」
ゴメンね。気にするなって言われたけど気にするよ
私は言われっぱなしで黙っていられるほど心が広くないんだ
「言いたいこと?そんなのあるに決まってるじゃない。
確かに私の格好は男にしか見えなかったかもしれないけど私がいつ自分は男です。なんて言った?
言ってないわよね。翼達が勝手に男だって勘違いしたんじゃない」
目には目をマシンガントークにはマシンガントークを
「あんな格好してたら誰だって男だって思うだろ!?」
「フットサルするのにズボンとパーカーで何が悪いのよ。じゃあ何?翼は私にスカートで
フットサルしろって言うの?冗談じゃないわ」
それだったら間違いなく私より翼の方が似合うと思うし
「だったら別に女だって言ってくれたって良かったんじゃないかっ!」
そんなに簡単に言わないでよ そんなに簡単な事じゃない
「男は女の事見下してるくせに」
今までとは違う真剣なの声に翼が一瞬黙った
「男の子はずるいよね、真剣勝負だ。とか言っておいて
女の子がどんなに頑張ってサッカーで勝っても
『女相手に本気になれるかよ』とか『女だから手加減してやったんだ』とか平気で言い訳してさ
挙げ句の果てには『女のくせにサッカーするな』なんて言い出て・・・・」
頭の中に、ある記憶が浮かぶ
男がそんなに偉いの?女の子がサッカーしちゃ何がいけないの?
「だからわざとあんな格好してたの。でなきゃ対戦相手だって見つけられないもの」
私だって好きでみんなのことを騙してた訳じゃない
「だったらせめて俺等だけでも教えてくれればよかっただろ!?
そんなに俺等のことが信じられなかったのかよ!?」
「ちがうっ!!」
一番言われたくないセリフ
信じられるとか信じられないとかそんなんじゃない
「だってしょうがないでしょ!?あんな格好でもしなきゃ翼達だって一緒にフットサルしようって
誘ってくれなかったでしょう!?
もし後から女ですって言ってそれでもフットサルに誘ってくれた?それまでと変わらないでボールを回してくれた?」
翼が息をのむのが分かる
「ほら、結局 女の子を見下してるじゃない」
自分で言ったのに心が痛かった
ずっと前にも同じようなことがあった
あれは亮が武蔵野森に行った後
今まで一緒にサッカーをしてた男友達の所へ行くとほんの少しよそよそしくなっていた
たぶん本人達は気付いていないそれくらい微妙な事だったけど
それから少しずつ少しずつほどけかかった糸みたいに深更していって
最後には全くボールが回ってこなくなった
それからだ
サッカーを辞めたのは
大好きだったサッカーが
泣きたくなるほど辛いものになったから
「・・・・そんなこと無い」
やっと翼がそれだけ言った
「口では何とでも言える」
冷たくそう言い放つと翼が食って掛かってきた
「なんでそうやって決めつけるんだよ!!」
「じゃあ何で私が女だってこと隠してただけでこの扱いなの?怒ってるんでしょう?
女だったから」
今度こそ翼が黙った
ほら
目の奥が熱くなるのを感じる
でも泣かない
泣いたら負けだから
何に対しての負けなのかよく分からないけど
とにかく泣き顔を見せるのだけは嫌だった
横に置いておいた鞄を手に取る
「さよなら。もう会うこともないけど」
------------後書き----------------------------------------------------------------------------------------
やっと書き終えました(^^;)
翼さんのマシンガントーク考えるはちょっと楽しかった(笑)
えーっと今回は「複雑な女の子の心境」みたいな感じで書いてみたんですけど
いかがだったでしょうか?
次まで引きずりそうです(ヲイ)
もしよければ次回もおつきあいくださいな
2月1日 砂来陸