あっという間に見えなくなった少年・・・・



一体誰だったのでしょう?




本日ハ晴天ナリ





しかたなくドアを閉めて(追いかける気は無い)サラダを作ることにした

大きなお皿に綺麗に切り分けた野菜を盛っていく

「ただいまー」

丁度サラダが出来上がった時功さんが帰ってきた

濡れた手をエプロンで拭きつつ玄関まで迎えに行く

「お帰りなさい。功さ・・・・・・・」

それから先声が出なかった

玄関には功さんと

さっき走り去っていった少年がまるで小包のように功さんの片手に抱えられていたのだから



「弟さん・・・・・だったんですか」

功さんと功さんに抱えられている少年を交互に見る

「弟の風祭将です」

目が合うと将君は恥ずかしそうにしながらも笑顔で挨拶してくれた

っと私も自己紹介しなきゃね

「隣人でここの・・・・メイドをしてる三上です」

我ながら変な自己紹介だったと思う

やっぱり召使いって言うべきだったかな・・・いやそれはそれで可笑しいよね

でもメイドって言ったら将君はかなり驚いた顔をして功さんの方を見たもの

・・・・・・何を想像したんですか



「あの、手伝いますよ」

台所から次々と料理を運んでくるさんにそうやって声を掛けたけど「いいよ いいよ」

と軽く流されてしまった

・・・・・・・なんか変な感じだな

功兄の家なのに功兄と来たら椅子に座ってのんびりとテレビを見てる

「功兄もちょっとは働きなよ。さんばっかり悪いよ」

「まぁまぁ。将こそせっかくの休みなんだからゆっくり過ごせよ」

「ありがと・・・・・」

なんだか話をすり替えられてしまったような・・・・・・

「将君?」

いつの間に全部運び終えたのかさんは隣に来ていた


「お口に合うか分かりませんけど」

さんはそうやって前置きをしたけど料理はどれもすごくおいしかった

さんって料理うまいんですね」

素直にそう言うと

「ありがとう」

さんはちょっとはにかんだ笑顔でそう返してくれた

にこやかな笑顔で功も頷く

「本当、これでも将より年下なんだから驚きだよね」

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

はい?

えーっと僕は今 中1だから それよりも年下って・・・・・・・

小学生!?

「年下!?」「年上!?」

全く正反対の意味を持つ言葉を同時に発して

その後お互いしばらく固まってしまった





え、てっきり同い年くらいだと思ったのに・・・・・

年上だったんですか!?

(翼といい最近の中学生は発育が悪すぎでしょ)←かなり失礼

かなり驚いてしまった・・・・・

将君もカレーのスプーンを握ったまま硬直してるし(私もサラダをスプーンで食べようとしていた)

って功さんは何平然にお茶すすってるんですか

「あれ 言ってなかったっけ?将は中1でちゃんは小6だって」

言ってません

「あ、俺そろそろ仕事いかなきゃ。ちゃんカレーおいしかったよ。後かたづけは将がやるから」

なんと功さんはそう言ってさっさと出て行ってしまった




しーん・・・・



き、気まずい

でも何て話しかけたらいいのか分からなくてそのまま無言で食事を続けた

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

そんなに長い時間じゃなかったはずなのにもう1時間くらいたった気がした


私も将君も食べ終わって


私としてはやっぱり謝ろうと思って(だって小学生だと思ってただもん)

思い切って声を掛けた



「「あのっ」」



なんてタイミング悪いんだろう(むしろ良いのか?)

同時に声を発してしまい

またもや気まずい沈黙



「すみませんでした」



先に沈黙を破ったのは将君の方だった

(でも 何で私が謝られてるの?)

「てっきり高校生くらいだと思って本当にご「ストップ!」

放っておくと延々に謝られそうだったからあわてて止めた

だって勘違いしてたのは将君だけじゃない。私もなんだから

「私の方こそてっきり同い年くらいだって思っちゃって・・・ごめんなさい」

ペコリと頭を下げる

怒られるかと思った

でも将君は




「じゃあお互い様だね」



そういって笑ってくれた

その笑顔を見て私も自然と笑みがこぼれた

「そうだね」

それからは一緒に私が作ったゼリーを食べていろんな事を話した

なんと将君は武蔵野森に通ってるらしい(それもサッカー部!)

思わず私の兄も通ってるよ、と言いそうになったけどやっぱりやめた

だって「一軍」って言ったらなんだかこの関係が崩れそうな気がしたから



宿題とか大掃除とかに追われていろいろと大変だったけど

新しい友達に出会って

自分の世界が広がって

すごく充実した冬休みだった


*おまけ*

〜♪

夜遅くにケータイの音で目が覚めた

(誰よこんな時間に非常識なやつ・・・・)

寝起き最低のは着信も見ずそのまま電話に出た

「もしもし・・・・・」

か?』

「亮ぁ!?」

なんとこんな時間に電話を掛けてきた非常識キマワリナイ奴は我が兄だった

「何考えてるの? 今、夜の3時なんですけど」

『しょうがねぇだろ。みんなが寝るまで待ってたらこんな時間になってたんだよ」

あくまで自分を正当化しようとするんですね

「で、用事は何?」

こんな時間に掛けてきて用事が無いとか言うなよ

『・・・・・・悪かったな』

「は?」

『だから 今日は悪かったって!春休みはちゃんと帰るから・・・・・』

・・・・なんとまぁ

「私に嫌われたとでも思った?」

ちょっとしたイタズラ心が芽生えてきてそう訊いてみた

『ば バカかおまえはっあーもう今何時だと思ってんだ!!さっさと寝ろ!!!』

ブツッ  ツーツーツー・・・

切れた・・・・

さっさと寝ろって・・・ついさっきまでぐっすり眠ってたんだけどね

誰かさんに起こされなきゃ今も眠ってるはずだったんだけどね

更に言うならバカとか喚いてたけど照れ隠しだってバレバレなんですよ?

最後になんだか真っ赤な顔をした亮の顔が浮かんでちょっと可笑しくなった

「おやすみ 亮」

聞こえないって分かってたけどそっと

そっとケータイにそう呟いた




Next

---後書き-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
長らくお待たせしてしまいました(^^;)
やっと11話の終了です。二ケタいったことにかんぱぁ〜い☆
やっと将くんのとうじょうっすね
9話からかなり話が飛んでしまいごめんなさい
冬休みが終わったのでこれからまた飛葉中のメンバーがでてきます。
もしよかったら読んでみて下さいM(==)M

                                    砂来陸