亮の助けもあってサッカー部'S から逃れることが出来た

どんな助けだったかって?それはまぁファンが減ると困るんで内緒です




本日ハ晴天ナリ




死ぬかと思った・・・・



行きと同じバス停まで来てようやく落ち着いた 当然もう男はいない

別に男が嫌いな訳じゃない。多少苦手意識はあるけど

質問攻めに遇うのが嫌だった(既に遇ったんですけどね)

それにあそこまで大量の男共に囲まれてパニックになったって言うか(軽く20人は超えてた)

まぁとにかく原因は色々ありすぎて・・・

片手で顔を仰ぎつつ ふと額にうっすらと汗をかいてることに気づいた

「けっこー動いたもんなぁ・・・」

だいたい最初の2,3球って言葉は何処に消えたのよ 帰って絶対文句の電話いれてやる

そんなことを思いつつ額をぬぐうために帽子(今日のためにわざわざお母さんが買ってきてくれた)を脱いだ

その瞬間今まで帽子に押し込んでいた長い髪がさらりと肩をなでる

さすがにもう男装解いても平気だよね

誰かサッカー部の人に会うことも無いだろうし

「えっ?」



・・・・今何か聞こえた?きっと空耳だよね うん空耳決定!




「・・・・」




駄目だ さっきのは空耳だとしても明らかにうしろに人の気配を感じる

ゆっくりゆっくり(効果音をつけるなら『ギギギ・・・』がピッタリ)首を後ろに向ける






そこには




「笠井・・・君」




私のケータイを片手に持っている「KASAI」少年こと笠井君が立っていた









くんが質問攻めに遇っているのを少し遠目に見ながら手に持っているケータイをいつ渡そうかぼんやりと考えていた

「ごめん!!」

そんな声が聞こえた。気が付いたらくんは走っていた

あ、足も速いなぁ もう帰るのか へー・・・・・って え?!

「ちょっとケータイ・・・・・」

くんは僕が止めるまもなく器用にサッカー部の人たちの間をすり抜け駆けていった

あっという間に見えなくなった

どうするんですか コレ



普通に考えてどうするかなんて目に見えてるもので

追いかけることにした


歩きながらケータイを見る

男の子にしてはめずらしい白で あ、これ最新型だ。ストラップは何もついてない

(あ、いた)

くんは校門を出てしばらく歩いたところにあるバス停に立っていた

声を掛けようと息を吸い込んだ

そう言えば聞いたのは「」って名前だったけどいきなり名前で呼ぶのも馴れ馴れしすぎる気がして名字で呼ぼうとした

三上君、って

「み・・・・・」

妙なところで言葉は切れて続かなかった

何故って・・・とんでもないものを見たから

ずっと被っていた帽子を脱いだ。別に脱ぐだけならかまわない。問題はその次

長い髪が現れた

「えっ」

■どうする竹巳■
A.戦う
B.逃げる
C.死んだふりをする
D.石を投げる


あまりのことに頭の中ではよく分からない4択がでてきていた とりあえずオーディエンスで・・・・・・じゃなくて!!

「・・・・」

なんて声を掛けていいか分からなくてそのまま固まっていたらようやくくん・・・・訂正、さんはこっちを向いた




「笠井・・・君」




少し沈黙が流れた


笠井君に見られてしまった

■どうする
A.帽子を被り直し、しらを切り通す
B.逃げる
C.殴ってケータイを奪う
D.石を投げる


どうしよう どうしよう・・・・テレフォンで亮に聞いてみようかな じゃあケータイ・・・・ってケータイが無いじゃん!!(かなり混乱中)

しかたない ここはとりあえず・・・・・

さぁ!の答えは・・・・・!




「三上です。亮がいつもお世話になっています」

E.自己紹介をする でした

「あ、笠井竹巳です。僕の方こそ三上先輩には(いろんな意味で)お世話になってて・・・・」

びっくりした・・・さんは三上先輩の弟ではなく姉だったんだ

「すみません なんだか迷惑を掛けてしまって」

ケータイを手渡すとさんはそうすまなそうに謝った

さすがは三上先輩の血縁者 とても綺麗な顔をしてる。でもあんまり似てないなぁ

しいていうなら瞳の感じがそれとなく似てるかも?

「いいえ。そんなことないですよ さん・・・・弟じゃなかったんですね」

どういう経緯で男装なんて試みたのかは知らないけどなかなか出来ることじゃないと思って(することでもないけど)

別に深くは考えずそう言った

そう言うと一瞬さんの動きが止まった




「・・・・なんで私は笠井君に敬語を使われてるんでしょうか」




さらには『さん』付けですよ!!

これは・・・・もしかしてもしかしなくても

姉だと思われてる!?


ま、まさかね・・・・まさか、だと思いたい

「だって年上でしょう?」

ぐはっ!!大当たりですか(涙)

何で!?さっきまでは中学生に見えてたみたいなのに!?

「・・・・大変言いにくいんですけど私笠井君より年下なんです」



 沈黙



「え、じゃあ・・・・」

「小6です まだ・・・」「だから敬語はいいですよ。名前もさん付けは・・・」

笠井君は猫目を大きくして驚いている

えぇ思う存分驚いて下さいよ どーせ小学生にみえませんよ すみませんねぇ小6の平均身長15aも上回って

でも亮より年上に見られたのは・・・さすがに凹みました

家系なんだからしょうがないんだけどさ・・・(お父さんもお母さんも大きいんだもん)

ちょうどいいタイミングというかバスがやってきた

心の中でため息をつきつつバスに乗り込・・・・もうとした時

ぐいっ

パーカーを引っ張られた。どこかへ引っかけた訳じゃなく引っ張られた。

となると原因は一つ 笠井君が引っ張ったのだ

「笠井君?」

「僕も敬語必要ないから。・・・ちゃん」

笠井君はそれだけ言うとパッと手を離した

ドアが閉まる




その瞬間






「ありがとう竹巳くん」






嬉しくて 本当に嬉しくって

たぶん あんまり笑わない私としてはめずらしく笑顔で笠井君・・・じゃなくて竹巳君にお礼を言った

もしかしたら聞こえなかったかな?って思ったけど

窓からみえる竹巳君の顔を見る限り聞こえたんだろう




竹巳君も笑顔だった




家に帰ったら亮に文句の電話を入れる予定だったけど今日は勘弁してあげようと思う

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-------後書き--------------------------------------------------------------------------------------------------
はい。5話終わりました!!
これにて武蔵野森編はおしまいです。最後は笠井君でしたね
私的にかなり好きです☆笠井君
小6の平均身長はぶっちゃけ嘘です(オイ)とうの昔に小学校から卒業した私には分かりませんでした。
誰か知ってる人が居たら教えて下さい
次は意外なあの人が登場!もし良ければおつきあい下さい(^^)
では


*小6の平均身長を調べてみました。その結果146aだそうです。お騒がせしました(^^;)

                                             1月5日 砂来陸