『初めまして、私はリナリー』
『俺はラビさー』
『初めまして・・・』
世界の終焉にようこそ15
(サイキックガァル)
穴があったら入りたい・・・
神田さんの隣で小さくなりながらは思った
なんと私が悲鳴を上げて逃げ出した相手はれっきとしたここの住人だった
よそ者は私のほうで赤い髪の男の子・・・ラビさん、は私に話しかけてくれた
『驚かせてごめんなー?』
・・・うん、何言ってるかはわかんないけど
そしてもう一人
お人形さんみたいに綺麗なリナリーさん
本当におんなじ生き物とは思えないくらい・・・
リナリーさん、アレンさん、コムイさんにラビさん
それから神田さん
改めて自分が場違いだと思う
・・・部屋に帰りたいなぁ
『兄さんに聞いて、凄く会いたかったの』
『?』
にっこりとリナリーさんが話しかけてくれるけどわからない・・・
神田さんは訳してくれない・・・言いにくいことなのかなぁ?
『ちょっと神田!通訳してよ』
『俺はコイツの付き人じゃねえよ。』
『他に言葉分かる人がいないんだからしょうがないじゃない!』
『そうですよ神田!自分ばっかりさんと話して!僕らだって仲良くなりたいです!』
『俺も超能力ってやつ見てみたいさー』
こ、今度は何?
神田さんはみんなと何か言い合ってて
私は一人会話に取り残されていた
「アークシュ」
・・・は、い?
ぱちり、と瞬きをするとラビさんは首を傾げた
『あれ?握手って言えたと思ったんだけど間違えたさー?』
彼はもう一度手を差し出してきた
「アークシュ?」
「握手・・・ですよ、ね?」
恐る恐る神田さんを見ると神田さんは酷く面倒くさい顔をしながら頷いた
もう一度ラビさんを見る
ニコリ、と笑顔を見せてくれた
・・・彼は悪い人じゃないのだ
私が勝手に怯えただけで
おずおず手を伸ばす
『お、通じたさー!』
彼の手は温かった
私は、一体何を見てきたんだろう
他人が怖い
言葉が怖い
世界が悪意に満ちていると私は思ってる
彼はこんなに優しい笑顔を向けてくれてるのに
『・・・ごめんなさい』
『え?』
言葉が、通じなくても
通じる何かがあれば良い
「私、怖くて・・・
言葉も、人も。貴方だけじゃなくて・・・本当にすみませんでした」
通じて、欲しい
『え、え?何で俺謝られてるの?』
『そ、そうよ!驚かせたのはラビのほうなんでしょう?』
許さない、とか言われてないといいんだけど・・・
ああ、リナリーさんの声もする
悪意がない声
くしゃり、と頭に何か触れる
「お前が謝ることは何もない」
神田さん
ぐいっと引っ張られたかと思うとラビさんと繋がっていた手を離された
嫌な音がしそうなくらい勢いよく首も動かされた
瞳が合うとどうしてこんなにも落ち着くんだろう
真っ直ぐなこの人の瞳が私の張り詰めた心を安らげる
「誰もお前を責めてない。
泣く必要はない。・・・心配するな。こいつらに敵意はない」
それはまるで雪のように私の心に降り積もる
優しい言葉
「返事は」
「は、い」
『・・・また二人の世界に入ってますよ』
『ユウってあんなに面倒見良かったっけ?』
『ちゃんにだけだよ。あんなに優しいのは・・・』
『言葉の壁って大きいわね・・・』
(とりあえず、全員集合!)
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