「っ・・・!」

「っ!?」

地面がなくなって思わずすぐそばにあった布にしがみついた

ズシン、と衝撃

「おい」

不機嫌な声は下から聞こえた

「・・・退け」





世界の終焉にようこそ13
(サイキックガァル)





ようやく理解した

私は神田さんに馬乗りして着地していた

「ご、ごめんなさいっ」

慌てて下りる

わ、わたしの馬鹿!

いくら驚いたからって何も真上に落ちるなんて!

・・・また、跳んでしまった

頭が痛い・・・目眩が少し

手が・・・

パタッ、と水が落ちる

瞬きをすればさらに水が降ってくる

さっきの出来事がフラッシュバックする

怖かったんだ

言葉が通じなくて、理解できなくて

「・・・おい」

低く届く声

頬に手が触れた

「何があった」

じんわりと体温が伝わってくる

神田さん、だぁ

さっきの赤い髪の人に触られた時はすごく、怖かったのに神田さんは安心する

言葉が、通じないことがこんなにも怖いとは思わなかった

人って言葉がなくても表情で繋がるって言ったのは誰だろう

嘘だ

言葉じゃなきゃ伝わらないことがある

私は・・・

「神田さん・・・」

瞬きをしなくても涙は次から次へとこぼれ落ちる

「どうしたんだ」

突然現れてしかも泣き出すなんて最悪だ

だけど神田さんの手はいつもと変わらない

友達とも違う、綺麗だけど少し骨張った大きな手

安心する

安心すると更に涙と嗚咽まで零れてきた

二人して座り込んで一人はボロボロと泣いてる

伝えなくちゃいけないことがる。必死で言葉を紡いだ

「あ、赤い・・・」

(赤?)

「壁がドカンって」

(ドカン?)

「ぷ、プリントは埋まっちゃうし・・・」

(・・・)

「手を、」

支離滅裂にもほどがある

「な、何言ってるのか全然わかんなくて」

(・・・それは俺の台詞だ)

『あれ神田君?』

え?

ちゃん・・・?』

・・・コムイさん?

『僕部屋で待ってて、って言ったつもりだったんだけど・・・伝わらなかったみたいだね』

う、怒ってる?

「ご、ごめんなさい」

神田さんとコムイさん二人いっぺんに振り返った

「わ、私部屋で待ってるように言われたんです。だけど・・・」

「分かった」

神田さんがぴしゃりと言い切ったのでそこから言葉が続かない

かわりに神田さんの、長い指が頬に触れた

『部屋で何かあったらしい』

『何かって?』

『俺が知るか。部屋に行ってみれば分かるだろ』

・・・さっきの説明で伝わったのかなぁ

ポロポロとこぼれ落ちる涙は止まらない

だけどさっきよりずっと落ち着いてる

シャツを引っ張って涙を拭う

力いっぱい擦ったせいで頬がヒリヒリする

顔が赤いか、も

「おい」

「は、はい」

「これからコムイの部屋に行く」

・・・これは私もついて来いって言われてるんだよね?

急いで立ち上がろうとしたけどびっくりしたことに足が動かない

あ、あれ?

どんなに力を入れてもピクリともしない

・・・もしかして腰が抜けた・・・?

「・・・おい」

「ご、ごめんなさいっ」

ぐっ、ともう一度腕に力をいれて立ち上がろうとする

やっぱり動かない・・・

「ちっ」

神田さんの舌打ちが聞こえ萎縮していると突然世界が反転した

「きゃっ!」

な、なに?!

ぐっとお腹に圧迫感

『神田君、それはあんまりじゃあ・・・』『うるせぇ』

「あ、あのっ」

「黙ってろ。舌噛むぞ」

「でもっ」

「五月蝿い」

・・・そんな風に言われたら黙ってるしかない。

俵担ぎ

今の私の状態がそれだった

な、なにが悲しくって神田さんの肩に担ぎあげられてるんだろう

重いですか?重いですよね、すみません

一人心の中で問答する

・・・は、恥ずかしすぎる