力をコントロールする
考えたこともなかったけど確かにこの力は私の中にある
もし、本当に使いこなせたら・・・私はもう少し私を好きになれるかな
世界が急に開けた気がした
世界の終焉にようこそ11
(サイキックガァル)
『ーこれ室長のところに頼む』
『・・・運び、まスか?』
『そう』
リーバーさんが頷いたのをみてプリントの山に両手をあてる
瞳を閉じて深呼吸
いち、に、さん
パチン、と音がしたかと思うと足元がふらついてたたらを踏んだ
『ちゃんお疲れ様ー』
コムイさん、の声
成功したんだ
『リーバーさん、からです。お願いします』
『うん、ありがとう』
頭をなでなでされてちょっとくすぐったい
「おい。」
「神田さん」
凛とした神田さんの声はすぐに分かる
世界が一層クリアになる
『ちゃん。今日はもう上がっていいよ』
(う、ん?わかんない・・・)
『お、し、ま、い』
あ、今日は終わり?
『終わり?』
『うん。お疲れ様』
『ありがとうございました』
お辞儀をすると急いで神田さんを追いかける
神田さんは私が追いついたのを見ると何もいわず歩き始めた
隣を歩けるのは悲しいことにものの3秒
その後はひたすら小走りで神田さんの斜め後ろをついて行くことになる
そうして向かうのは食堂
「いただきます」
「・・・」
神田さんはお蕎麦が好きらしい
いつもお蕎麦を食べている
私も一緒
正直、私はここにきて全然お腹が空かないから神田さんが二人分注文してくれて(それが大抵お蕎麦)
お蕎麦って消化に良いんだよね。
すごく、美味しいし
あ、一度だけアレンさんも一緒に食べたことがあった
何も、喋れなかったけど
喋れなかったけどアレンさんの食事の量にはビックリしたなぁ
・・・途中で神田さんと喧嘩始めたのもビックリしたなぁ
「少しは慣れたか」
だけど。
優しい、人なんだ
「はい。みんな、優しいです。神田さんも・・・優しいです、し」
と、言うと嫌そうな顔をされた・・・あ、あれ?
「・・・さっさと食え」
「は、はい・・・」
もごもごとおそばを詰め込む
食べてるときは出来るだけ俯いてる
私が知ってる人は多くない
顔を上げると必ず目が合うから
ここは食堂で、色んな人が利用してる
だからしょうがないんだ
静かにしてると人が喋ってるのはわかるけど私には伝わらない
だから私にとってこの空間は雑音でしかない
『あれが例の・・・?』
『まだ子供じゃないか』
『一緒にいるのは神田か?』
言葉が分かるようになったら、世界は変わるだろうか?
聞こえない言葉に、伝わらない言葉に、ちょっとだけ慣れたけど
私は異端児だから
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