「、どうして、分かってくれないの?」
「お前のためを思って言ってるんだ」
「楽をしようとするから無意識に使うんだ」
「使っちゃいけないのよ」
「駄目っていっただろう」
世界の終焉にようこそ10
(サイキックガァル)
ぺいっ、と部屋に放り込まれた
「・・・あの」
正しくはベッドの上に
さっきまで3秒で眠れるって思ってたけどそれどころじゃない
突き刺さるような視線に困る
え、と
「その力と向き合ったことがないのか」
「え?」
「真っ向から否定してるだろ」
・・・ぱちぱちと2回瞬き
「・・・だってお父さんもお母さんも「お前の話をしてる」
鋭い瞳は変わらない
言葉は深々と降りそそぐ
だけどそれは私を傷つけるための言葉じゃなくて
「いつも、すごく困った顔をするから」
ぽろり、と生暖かいものが頬を伝う
ぐにゃり、と神田さんの顔が歪んでしまった
必要ないだろう?
何度も何度も言われたから
「疲れた顔して怒るから・・・私が力を使うと・・・」
力をコントロールできなくて、みんなから奇異な目で見られるたびにお母さんは泣く
お父さんは疲れた顔で怒る
「・・・だからお前はその力が嫌いなのか」
「い、いらないんです。こんな力・・・ちゃ、んとコントロールできないし」
「コントロールする気があるのか」
「・・・え?」
「使いこなすつもりがあるならそれなりの根性みせろ」
こ、根性?
「修行してみろ。使いこなせるように」
しゅ、修行?
瞬きをする度ぽたぽた小さな雫が落ちていく
神田さんはただじっと見てた
考えたこともなかった
どうすればこの力がなくなるのか、そればっかりだったから
涙がじんわりと温度を奪っていく
だけどそれも気にならないくらい私はドキドキしていた
頑張れば、使いこなせるようになるんだろか
この力は
「・・・神田さんは、優しいですね」
「あ?」
「本当は、怖かったんです。ここのみんながこの力を喜んでくれるから」
誰かに喜ばれると色んな言葉が頭をよぎる
だけど
「ありがとうございます」
ここで、私は頑張ってみよう
へにゃへにゃな笑顔で申し訳ないけど伝わっただろう
もしかしたら、意味のある力なのかもしれない、って初めて思った
ねぇ神様。この力を与えたのは貴方かもしれないけど
私を救ったのは貴方じゃない
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