サイキックガァル-世界再生の日に会いましょう-

ドリーム小説
のいた世界が知りたいな」

居候生活半年目に突入したある日、唐突にヒソカさんはそう言った

「世界、ですか?」

抽象的過ぎる。世界地図を書いたら良いんだろうか、・・・やばい。うろ覚えとか考えているとヒソカさんの手が伸びてきた

ぷに、頬っぺたをつつかれた

気持ちは分かる。子供の頬っぺたってすごく触り心地良いんだよね。

気持ち良くて目を細めると・・・笑われた

彼は時折こういう意味のないスキンシップをする

が毎日何をして過ごしていたのか知りたいんだ」

「普通ですよ?」

きっとヒソカさんが期待しているようなアドベンチャーは無い。

つまらないから殺して良いかい?なんて言われたら堪らない。そのため念押しするがヒソカさんは構わないと促した

「んーと・・・」

本当に平凡な大学生なんです。平日は学校に行ってました。毎日びっしり授業とってた訳じゃないので空き時間にバイトして。

結構何でもしてました。今はウェイトレス・・・うん。に準ずるものをやってました。深く突っ込まないで下さい。

ええっと一人暮らししてたのでじり貧生活なのですよ。あれ、じり貧って伝わります?ぶっちゃけ貧乏なんですよ。

でも保証人なくてもアパート借りられたし周りは良い人が多かったし(みんな良い人って言わないあたりらしいね)

・・・とにかく両親が好き勝手してても子供って育つんですよ。

掃除も料理もとびきり上手って訳じゃないけど今もこうして役に立ってるし万々歳ですよね。

「じゃあは今より不憫な生活してたんだね」

あれ、可哀相な子認定された・・・?

確かに貧乏学生だったけど今より自由だったよ?

なんていえない・・・

半年の間に私は少しだけこの世界の文字を覚えた。

それくらいの変化しか無いんだけど・・・

「洋服も食べ物もが欲しいだけ買えば良いよ」

「・・・」

半年の間でヒソカさんは変わった

なんか過保護になった気がする

まず家にいる時間が増えた

それからよく触る。いかがわしい意味ではなく。・・・ほっぺにちゅーは許容範囲だと思いたい。私もさすがにこの身体でエッチなことはしたくないけど不思議です。

自分でいうのも何ですが私のどこがお気に召したんでしょうか?

だってヒソカさんって実はすごくイケメンだし女には困ってない、って感じだしもちろんお金も困ってなさそうだし

・・・ロリコン?

「今何考えてた?」

「な、何も」

勘が良いし

「買い物に行こうか」

「昨日も行ったじゃないですか」

「買いたいモノがあるんだ」

・・・そう言われると何も言えない

解りました、とエプロンを外しながら上着を取ってくる

いつの間にか随分と寒くなった

ヒソカさんが買ってくれたポンチョは手触りが良く密かに気に入っている一品だ

手を繋いで歩きだす

は家そのものなんだね」

「え?」

唐突な言葉に見上げるもヒソカさんはただ笑うだけだった

家、そのもの?

よくわからないが教える気がないならしょうがない

は諦めて前を向いた

・・・実は最近ちょっぴりヒソカさんと買い物行くのが億劫だった

「あら、ちゃんパパとお買い物良かったわねー!」

・・・これだよ

間違いなく顔は引き攣っているだろう

パパという単語がこれほど似合わない人はきっといない

賢明な判断でただ笑顔だけ返しておく

何も言うまい

推定年齢5歳の私とノーメイクなら好青年なヒソカさん

親子に見えるかもしれない。兄弟は無理がある。むしろ親子以外に見えないだろう

(って言うかヒソカさんの反応が・・・)

恐る恐る見上げると・・・バッチリ目が合った

にっこり

ニッコリ

(超笑顔・・・!)

笑顔です。まごうことなき笑顔です。

冷や汗が止まらない。

社交辞令の笑顔なのか分からない・・・!

「・・・ヒソカさん、今日何買うんですか?」

「こっちだよ」

腕を引かれる

・・・あぁ、陰でDV受けたりしませんように

ひっそりそんな祈りを捧げたのは内緒です

***

「ハイ、これ」

「・・・」

にピッタリだと思って」

レモンイエローの小さな・・・なんだこれおもちゃ?

「電話だよ」

「へ・・・ぇ?」

電話・・・?携帯電話?

「これでいつでも声が聞けるね」

「そぉ・・・ですね」

はたして過去に声が聞きたいと思ったことがあるか

・・・あるんですか?ヒソカさん

そしてまた買い与えられてしまった

素直に喜ぶことが出来ない悲しい貧乏性。それにね、まだ説明書読める自信が無いのさ

知り合いとかいないから私の携帯アドレス帳はきっとヒソカさんだけだ

・・・切ない!

「使い方なら後で僕が教えてあげるよ」

「・・・お願いします」

そういう訳で携帯電話(異世界仕様)ゲットです。


***

「ヒソカさん?」

こてんと首を傾げる仕種すら愛おしい

「コーヒーのおかわりですか?」

「ううん。」

の顔にはじゃあ何で見てるの?と書いてある

それに気付かないフリをしているとは居心地悪いらしく俯いてしまった

残念

は僕が怖くないのかい?」

真っ黒の髪がふわりと揺れた

指通りが良くてお気に入りの一つ

勢い良く頭を上げた反動のせいだった

「人を殺すことがですか?私を殺すかもしれないことがですか?それとも野蛮なお仕事していることがですか?」

「・・・驚いたなぁ。ボクは君に仕事の話をした覚えは一度もないよ」

「こんなナリですけど一応大人ですから。分かりますよ血の匂いは」

は言葉を切ると少し困ったように笑った

出血多量で死んじゃうくらい、ですもんね。となんでもないように言う

そのくせ念でトランプを出せば一目散にソファから飛び降りる

「冗談だよ」

「・・・笑えません」

そろり、そろりとソファに座り直す姿は警戒心丸出しでそれすらも可愛くて仕方なかった

「人を殺すことを容認はしませんよ。だって私はまだ死にたくないから。

 怖くないって言ったら嘘ですけどヒソカさんのこと・・・うーん、好き、ですよ?」

上手く言えなくてすみません。と言う

否定も肯定もしない



「何ですか?」

「抱いても良いかい?」

「・・・慎んで遠慮します」

「じゃあ抱きしめても良いかい?」

は少し困ったような照れたような顔をした

「・・・どうぞ」

子供特有の甘い匂いに目眩すら覚える

「甘えた、ですねぇヒソカさん」

「ボクにそんなことを言うのは君くらいだよ」

「大人だって甘えたい時くらいありますよねぇ」

楽しそうには言う

ちぐはぐな関係

一定のリズムで背中を叩かれ睡魔が襲ってくる

いや、安堵だ

一体彼女はどこまでボクを侵食してくるつもりだろう

(いっそ彼女の念だったら良かったのに。不可解なこの感情全て)