藤代誠二は自分は悪くない、と主張した
それがマネージャーに「最近、亮が冷たいの」と相談され新発売のお菓子と引き換えに三上先輩の携帯を覗き見し
3号の写メを見つけてしまい、あーやっぱり3号って三上先輩の彼女だったんだと自分の感じたままマネージャーに報告したとしても
事の発端が自分の所為だなんて微塵も思っていなかった
・・・馬鹿犬、それ以上喋るな
がおどろおどろしオーラを醸し出してるから
本日モ晴天ナリ-お使い-
「・・・亮、今すぐ携帯から私の写メとやらを消しなさい」
「言っとくけど俺が撮ったんじゃないからな。お袋が送って来たんだぞ」
(お母さん・・・!)
そうなると亮を責めるに責められない
と、言うか事の発端はすべてそこの藤代誠二君にあるんじゃないか?
疲れてきた・・・まだ目的は何一つ達成してないのに
「藤代、人の携帯を覗き見るのは良くないぞ」
やんわりと渋沢さんが藤代誠二君を窘める
なんだろう・・・渋沢さんって保父さんみたいだ
それじゃあ藤代誠二君は園児?なんてこった
「それに俺はマネージャーにお前と間宮も呼んでくるように頼んだんだが」
「あ、間宮は今日委員会で遅くなるらしいっスよ!」
遅くなるって一体私は何時までここで待つ羽目になるんだ
「・・・色々、言いたいことはあるんですけど・・・」
主に藤代君、貴方の生活態度についてはちょっと改善すべき点があると思うのです
だけど。
「今日はとりあえず仕事をさせてください」
これ以上ここに居座りたくない。早く帰るためには早く話を済ませるしかないのだ
亮は気だるげに頬杖をついている
別に俺関係ないしー、という声が聞こえてきそうである。だけど今は無視だ無視!
更に藤代君は瞳が合うとビクッと逃げ腰になった
ちょっと、睨んだ訳でもないのに何故にそんなに怯えるんだ
ええい それも無視だ!
「今日は監督の代理で来ました。
他の選手の皆さんには先日お渡ししてあるんですけど武蔵森の皆さんだけ練習にいらっしゃらなかったので」
準備していた言葉を一気に喋りきる
この間ほど上がらなかったのは何でだろう?
隣に誰かがいるおかげだなんんて絶対に思いたくない
可能性の一つだ!
「間宮君には誰か後で説明してください」
茶封筒をひっくり返すとプリントがばさばさっと降って来た
それを二人に見えるように方向を整える
「今後都選抜の練習に参加するにあたって保護者の承諾書が必要になります。
それから今後は月に一度程練習が行われます。こっちが今後の日程表になります
平日に練習が行われる時は別途学校側へ承諾書を出させていただきます。それはスケジュールが固まり次第ご連絡という事になるので・・・」
「分かった。それじゃあこっちのプリントは・・・」
「あ、そっちは監督への挨拶状です。渡してもらって良いですか?」
渋沢さんは次々プリントを仕舞っていく。理解が速い人は素敵だ
藤代誠二君は、というと私からだいぶ距離を取ったところに座って聞いている
・・・本当に聞こえてるのか?
藤代誠二くーん。聞こえてたら返事してくださいなー、と言おうか悩んでいると先に藤代誠二君の方が口を開いた
「・・・三上先輩って3日で3号を落としたんですかー?」
「「「は?」」」
3日で落とすって・・・落とすって何?池?
って、いうか3号というのは私のことなんです・・・よね?
・・・1号と2号って誰なんだろう
「馬鹿代」
「藤代っす!」
「3号ってコイツの事なんだよな?」
「はい」
「彼女じゃねぇよ」
「は?」
きょとん、とする藤代誠二君とそれっきり会話終了と言わんばかりに黙りこんだ亮
え、何 放置?
ちょっと空気が重たいんですけど
藤代誠二君は言葉を理解するまでに数秒かかったみたいだった
「え!?それって「お疲れ様でーす」