きっと、始まりは本当に些細なことだったんだ

サッカーが好きになったきっかけ、は




本日ハ晴天ナリ





玲さんが表向きのルールを説明してる間、私とはラインカーを引っ張っていた

「暑いね」

「お水たくさん準備しなきゃね」

「うん」

・・・今日で終わりなんだよね

あっという間だったなぁ、と思う

役に立ったかどうかはおいといて、貴重な体験ではあったよね

人のプレーみるのは楽しかったしマネージャーとしての経験値も増えたと思う


・・・それに


久しぶりに亮にも会えた

お互い相変わらずだったけど・・・やっぱり会えるとほっとする

絶対に口に出しては言わないけど!

ちゃん?」

「はいっ」

「ボール準備したら一度集まって、って」

「了解です」

そう、今はぼーっと考えごとしてる場合じゃなかった。

やるべきことをして、試合終わったら・・・そのときは

ふ、と視線を感じて顔をあげると将くんと目が合った

あ。

声は出さないでゆっくりと口を動かす

がんばって


にっこり笑顔で小さくうなずいてくれた

わぁ、通じた!

と、にょきっと視界に入ってきたのは不破君

しきりに自分を指差してる訳すれば『俺には?』だ

・・・


わ、笑っちゃ失礼だ

でもようやくわかった

なーんか不破君がいつもと違うって感じた理由

将君と張り合ってたんだね

部屋のあの妙なやりとりも将君には負けないって言いたかったんだ

そう思ったら何だか微笑ましくてしょうがない

そうだよね、キーパーはフィールド選手よりも狭き門だもんね。

同じゴールキーパーの私が将君ばっかり応援するのは納得いかないんだろう

『一緒に、頑張ろう』

口パクで伝わったみたいでこっくり、頷いてくれた


・・・なんか可愛いぞ。不破君


さぁ、試合が始まる


すごくドキドキして期待と緊張が入り混じってホイッスルが鳴る

そう、私はこの時正直浮かれてた

全然疑ってなかったんだから

最初の10分間はただ楽しくてわくわくしながらみてた

それから「あれ?」って思って

少しずつ嫌な予感がして


ハーフタイムではマネージャーの仕事して


後半は祈るような気持ちで見ていた


祈るって誰に?神様?


ちゃん?」

「え、」

「・・・どうかしたの?」

「う、ううん。大丈夫、だよ」

大丈夫って何だろう

無理矢理に表情を繕って歩き出す

・・・どうして


気づいてしまったんだろう





-------------------後書き---------------------------------------------------

や、やっと書き上がりました・・・
どんだけひっぱるんだ、そして前回との話の繋がりが見えません・・・
色々つっこみどころ満載で申し訳ないですがもうちょっとだけ。お付き合い下さい

                         12月23日 砂来陸