一体何がいけなかったんだろう

目を瞑ってもう一度開く

悲しいことに目の前の惨劇は変わらない





本日ハ晴天ナリ





何故だか鼓動が早い

なけなしの勇気で喋り掛けた所為だろうか

たぶんそうだろう

そんな事を思いながらは廊下を早足で進んだ

(そうだ、これから玲さんの所に行かなくっちゃ)

本来なら一番最初にしなきゃいけない用事を一番後回しにしてしまった

もしかしたら待ってるかもしれない

ようやく着いた自分の部屋のドアを急いで開けた

「遅くなってごめんなさいっ」

その瞬間の頭の中は真っ白になった

まず、目に付く・・・というより鼻につくの方が正しいだろう

むっと篭もった匂いが一気に来た

(な、これお酒?!)

ちゃんっ!!」

そして続いて飛び込んできたのは(ホント。文字通り飛び込んできました)だった

いつものタックル並のハグを喰らい後ろに倒れそうになった(いっそこのまま倒れて気を失えたらどんなに幸せだろう)

「ご、ごめんなさぁいっ

 ちゃんいっぱい持ってきてて、疲れてる時にはこれが一番って言い出して、あ、あたしには止められなかったのーっ!」

今にも零れそうな程涙を目一杯に溜めてどこか繋がっているようで切れ切れなの発言

でもそれでこの状態を理解出来た

部屋中に酒の匂いをぷんぷんさせて(さり気なくもお酒の匂いがする・・・この部屋にずっと居たせいだろう)机の上にはチューハイとビールの空き缶がゴロゴロ転がってる



そして・・・ついでにさんも転がってる



「あーっ!ちゃんおっかえりなっさーい!チューしてあげるからおいでー!!」

絶対行かない

心の中でそう返事し急いでをくっつけたままドアを閉めた

こんな状態他の人に見られる訳にはいかない

ちゃんばっかりずーるーいー!ちゃんこっちおいでー!おねーさんと良いことしようよー!!」

しないし行かない

またもや律儀に心の中で返事を返す

床に仰向けで転がったままのは相当酔っぱらってるのが見て取れる

顔が赤いし妙にろれつが回ってない

一体どれだけ飲んだらこんなになるんだろう

目で部屋の中をすばやくチェックすると転がってる缶は全部で8つ

(ひ、一人でこんなに飲んだのさん・・・!?)

駄目だ、こっちがむしろ飲みたい

飲んで酔っぱらってこの状態を夢だと思いたい

だがそんなこと出来る訳ない

この最悪の状態にプラスして未成年の飲酒なんて出来るわけない

「と、とりあえず片づけないと・・・あぁちょっと離れて・・・」

未だくっついたままだったをとりあえず剥がして空き袋にこの転がってる空き缶をその中へと放り込んだ

「はーいっ一人野球拳始めまぁす!」

それもう野球拳じゃないから

床に転がったまま唐突にシャツに手を掛けるさん・・・もしかして本気で脱ぐ気!?

思いっきり下着が見える所までシャツを持ち上げたさんを慌てて止めようとしたが逆に手を掴まれて思いっきりキスされた

「〜っ!!!」

声にならない悲鳴が上がる

お酒くさい。そしてほっぺとかならまだしも口って・・・!

ちゃんかーわーいー!」

けらけら笑ってるさん

・・・軽く殺気が沸いてしまいました

ちゃんが襲われてるーっ!!」

そして後ろで絶叫を上げて何だかしゃくり上げてるっぽい



もう嫌だ・・・



何もかもが手に負えない

も何故か情緒不安定だしさんに至っては例外だ

部屋の片づけだってしなきゃいけないし(これを証拠隠滅という)

考えるだけで頭が痛くなってきた・・・

そして・・・突然だった

例えるなら図書室の窓が開けっ放しで机の上には読みかけの本がおいてある

そして風が入ってきていたずらに本のページをめくってしまう

そんな感じだった

『あたし酔うと結構激しいみたいなのよね〜

 しかもそうやって酔っぱらったあたしを介抱できるのってうちの家族だけらしいの。

 しょっちゅうかじゅまに怒られるのよねー』

唐突に思い出した言葉

思い出すや否やは急いで立ち上がった

さんちょっと見てて!変なことしないように!

 すぐ戻ってくるから、ね!」

心配そうな目をただただ向けてくるに「返事!」と叫ぶと「は、はいっ」と弱々しくもお返事が返ってきた

少し不安だけど良しとしよう

そして急いで部屋を出た


廊下を走りながら頭の中では先程見た部屋割りの紙を思い出す

確かに見たのだ

将君の名前を探す途中、『真田』という名字を確かに見ている

部屋の番号も覚えてる

どうか曲がり角の先から誰か来たりしませんように!そう祈りながらは廊下を全速疾走した


「っと、と この部屋だ!」

身体を無理矢理に止めようとして転びそうになった

急いで部屋をノックする(可能ならノックをすっ飛ばしてドアを開けてしまいたかった)

「はーい?」

中から返事が返ってくるまでに5秒そしてそれからドアが開くまでに15秒

そのようやくドアが開いた瞬間

思いっきり叫んだ

「夜分遅くごめんなさいっ!あの、



 ちょっと真田君を貸して下さい!!」



--------後書き----------------------------------------------------------------------------

微妙だなぁ・・・
さすがはさん。お酒の持ち込みなんてそうそう出来るもんじゃないですよねー。
どこへ行っても心配事が尽きないちゃん。

とりあえず、強く生きて下さい!

                              9月24日 砂来陸