三上 12歳
趣味はフットサルと料理 特技は・・・片付け?
好きなモノはサッカーで
嫌いなモノは・・・・・
本日ハ晴天ナリ
「よっし、洗濯物終了」
はベランダに綺麗に並べられた洗濯物を見て満足そうに頷いた
本日は晴天なり。洗濯物が良く乾く、とは一人嬉しそうに呟いた
(洗濯物はこれでよしと。それじゃあ晩ご飯でも作ろうかな〜)
空っぽの洗濯籠を左手に持って窓を開ける
開けた瞬間にカーテンが顔に軽くかかり、埃っぽい匂いを鼻が感知した
今度の休みはカーテンも洗おうと思う。
その時だった
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った
一瞬自分の家のチャイムが鳴ったのかどうかが分からなくてしばらく固まっていると
また、鳴った
「はーいっ!」
慌てて健康サンダルを脱いで玄関まで走る(もちろん籠は置いて)
「はいはいはい、どちら様ですかっ」
あまりに急いでいたので覗き穴から見るのを忘れてしまった
ま、いっか
そのまま勢い任せでドアを開ける
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
玄関を開けると
そこには
異様な空気を身に纏った男が立っていた
「・・・・・どちら様ですか?」
なんでドアを開けちゃったんだろう、と心の中でかなりの後悔をしてそれでもとりあえず訊いてみた
「おまえが『ちゃん』か」
バタン
速攻でドアを閉めました
ガチャリ
ついでにチェーンロックもしました
(えぇぇぇぇっぇぇえ!?誰!!??)
いやホントに誰!?
何で私の名前知ってるの!?
しかも『ちゃん』って何でちゃん付け!?
何?押し売り業者の人!?
三上
お化けとか幽霊とかそんな実態のないモノは怖くない
むしろ雷とか地震とかそんな自然災害の方が恐ろしいって思う
それともう一つ
私の嫌いなモノがある
それは
『得体の知れない人間』
実際いるかどうかも分からない幽霊なんかよりよっぽど怖い
特に、得体の知れない人は予想不可能な事平気でやってしまう それも怖い
家庭教師も塾も変な開運グッズもついでに言うと宗教にも興味ないから帰ってよー!!
「む、何故閉める」
何故!?こっちが訊きたいよ!!
誰だか知らないけどアンタこそ何故ここにいるのさ!?っていうか私に何の用ですか!!
パニックを起こしながら半涙目でドアの前で挙動不審になる
ホントに ど う し よ う
警察に電話? 何て言ったら良いんだろう?
変な人がドアの前に立ってるんです、ダメだ・・・警察が来るまで私が耐えられない
じゃあ亮? もっと無理だ・・・・
「あっ功さん!」
そうだ、功さんが居た!お隣だしきっと警察なんかより早く駆けつけてくれる・・・・・・・ハズ!
よし、そうだよ功さんに電話しよう
ガチャッ
「おまえが『ちゃん』なのだろう?」
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
私のバカー!!!!
肝心の鍵を閉め忘れるってどういう事よ!!
謎異様な空気を身に纏っている男は鍵が開いているのを良い事にチェーンロックがかかっているにも関わらずドアを開けてきた
いーやー!!!!
私なんて食べても美味しくないって!!!(落ち着けよ)
混乱のピークに達した私は
取り敢えず
ドアを閉め返すことにした
「だから何故閉める」
だったら何でアンタは開けるんですか!?
さっきより幾分不機嫌そうな声をした全身黒ずくめの男は対抗して(?)ドアを反対に引っ張った
不法侵入だから!!お願いドア離してよー!!!
私まだ12年しか生きてないし!!
死にたくないから!! ←もはや強盗か何かと勘違いしてる
「不破君っ!!何やってるの!?」
へ・・・・?
「風祭か。何故だかドアを閉められたんだ」
将君・・・・?
「一体何を言ったの?」
「何も変な事は言ってない」
嘘付け!!!
「ちゃんっこの人は僕の知り合いなんだ・・・・だから落ち着いて・・・・・?」
ドアノブをしっかりと握りしめたまま半涙目でいる私にドアの隙間から将君はそう言った
「えっと驚かしてごめんね、彼は友達の不破大地君。桜上水サッカー部のGKをしてるんだ」
「不破大地だ」
「・・・・・どうも」
とりあえず将君のおかげで混乱が治まった私はしぶしぶながらも将君とこの不破という人物を家に上げる羽目になった
一応お客さんだから紅茶を入れて
「それで・・・・私に一体何用でしょうか」
さっきの所為でどちらかというと気疲れしてしまった私はそう尋ねた
「に訊きたい事がある」
っていきなり呼び捨てかい
まぁちゃん呼びよりはマシか・・・・っていうかもう突っ込む気力も残ってないよ・・・・
「何?」
「GKは楽しいか?」
「は?」
イキナリ何を言い出すんでしょうかこの人は
「楽しいんじゃないですか・・・・?」
何て答えたらいいのか分からなくてとりあえず無難にそう答えてみた
「不破君はいつも言葉が足りないんだよ」
そんな私と不破・・・君のやりとりを見てた将君が苦笑しながら今回私の家まで来た経緯を話してくれた
DFとの喧嘩
武蔵森への乱入
なんとまぁすばらしい経緯をお持ちなんですね不破君って・・・・
「・・・・でちゃんはどう思う?」
どう思うって・・・・
ちょっと呆れてしまった
だって
やることは一つでしょう?
「DFの人には素直に謝るのが一番だと思う」
「俺がか?」
他に誰がいるのさ
「そう、不破君が」
はい そこで不満そうな顔しない。
その後 不破君は「何故俺が許しを請わなくてはいけないんだ」とぶつぶつ言っていた
まだ不破君は納得出来なさそうだったけど部活の時間があるらしくって(でも既にもう遅刻だよね?)
「ちゃん突然ごめんね」
「ううん、私の方こそあんまりお役に立てなかったみたいだけど・・・・」
「世話になった」
「こちらこそ」
消極的な態度の将君とぞんざいな態度の不破君
見ててちょっと面白い・・・
不破君も第一印象は最悪を極めてたけど(かなり失礼)
喋ってみると・・・・まぁちょっと変わってはいるけど嫌いじゃないな
それに数少ないGK人だし。そう考えると少し親近感が沸いて
「不破君」
つい呼び止めてしまった
くるりと振り返った不破君に
「ワンポイントアドバイスです」
内緒話をするように人差し指を唇に当てて
「謝るっていうのは『罪の許しを請う』っていうのともう一つ意味があるんだよ」
「?」
頭にハテナを浮かべてる不破君がちょっと可愛く思えた
「『仲直り』」
「サッカーは一人じゃ出来ないから『仲直り』するの」
「不破君ー?」
もうエレベーターの所まで歩いてる将君が動いてない不破君に声を掛けた
「あぁ今行く」
将君にそう返事を返して
「・・・・ありがとう」
私にはお礼の言葉を述べてくれた(後日知る事になるが不破君がお礼を言うという事は地球がひっくり返る事並に珍しい出来事だったらしい)
「頑張ってね」
エレベーターの中へと消えていった2人を見送って私は「はーっ」っと息をついた
「何だかよく分からないけど疲れた・・・」
妙な出会いだったけど
嫌な出会いではなかったかな
Next
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この話は不破君が野呂君達と喧嘩?をして武蔵森へ乗り込んだ後の話です
きっと将君の事だから不破君の疑問の回答者として渋沢さんとちゃんの名前を挙げたんでしょう(予定)
それで不破君がちゃんの家まで来た、と。
勢いにのって書いてしまいました・・・・
結構楽しかった♪
7月11日 砂来陸