「お兄ちゃん」

涙声では亮にしがみつく



初夏の出来事。



「どうしたんだ!?どっかぶつけたのか?」

亮がそう尋ねるとは首を左右に振って「否」の反応を見せた


そしてしがみついたままの体勢で顔だけを上げる


「あのね。私ね、自転車に乗れるようになりたいの。クラスで乗れないの私だけなの」

涙目ではそう訴える

(かわいいなぁ〜は)←亮の心の叫び

「お兄ちゃん?」


「よし、俺が何とかしてやる!!」


こうして亮による「を自転車に乗せるぜ☆大作戦」←亮命名

が始まった

「いいか?俺が握っといてやるから前だけを見てペダルをこぐんだぞ」

「うん」

は一生懸命首を縦に振って座席にまたがる

「お兄ちゃん 絶対離さないでね」

後ろに亮がいるのを何度も確認して

「大丈夫だ。兄ちゃんは絶対離さないから」

その言葉を聞きはようやくペダルに足をかけた

めいいっぱい足に力をいれる

1b、また1bと少しずつ進んでいく

「お兄ちゃん 絶対離しちゃ駄目だよ!」

「大丈夫だって」

荷台を押しつつ亮は答える

(でも結構うまいし少し手を離しても平気じゃねぇか?)

亮はそう思い直しそのままそっとほんの一瞬だけ手を離そうとした

その瞬間

ガッ

「「えっ?」」

なんとは道ばたに落ちてた石を踏んでしまった

自転車は一気にバランスを崩す

車体は大きく左へ傾きそのまま土手に落ちてしまった

「きゃあ!」

「おわっ!!」

もちろん乗っていたも荷台を握っていた亮も一緒にである

は自転車ごと、亮は握る手をゆるめていたので自転車から離れ吹っ飛ばされた

ザザザザザザー........


「って〜.....」

運良く草むらだったので亮は打ち身とひっかき傷だけですんだ

「おい!大丈夫か!?」

一方自転車ごと草むらにダイビングした

「だいじょ〜ぶ」

草むらから手を振りながら亮に居場所と無事を教えた

ホッと安心したのもつかの間、亮は急いで立ち上がりと倒れた自転車を起こしに行く

「はー怪我が無くてよかっ.......」

たな。と本来だったら続くはずであったのだろうが亮はそこで絶句していた

「?どうしたの お兄ちゃん」

絶句している亮の視線の先はなのだがさらに詳しく言うとの顔、左頬を見ていた

おそるおそるが視線の先に手をやると

なんだかチリッっとした痛みが走ったそして手にはわずかだが血が付いていた

どうやらダイビングしたときにどこかで引っ掻いたらしい

亮は絶句してる上になんだか顔が青ざめてきていた

「お兄ちゃん?大丈夫だよ。これくらい......」

確かにの怪我はそれくらいで後はほとんど無傷だった

むしろ亮の方が重傷と言えるだろう

しかし

「あ"ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!大丈夫か!!!!????血が出てるんだぞ!!
 とにかく落ち着けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


あんたが落ち着けよ

「お、お兄ちゃん」

「駄目だ、動くな!!兄ちゃんが運んでやるからな!!!!」

頬を少し引っ掻いただけで歩くにあたっては何の支障も無いのだが

亮がどうしても、というので自転車の荷台に乗って2人乗りして帰った

薬箱をひっくり返して消毒液を取りだし亮の方が泣きそうな顔での手当をした

「大丈夫か?」

もう何度目になるか分からない質問には笑顔で答える

「大丈夫だよ。ありがとうお兄ちゃん」


当然の事ながら傷は3日も立たない内に治った。後も綺麗に消えた


そしてあの事件から三日後

「お兄ちゃん、自転車に乗る練習しよう☆」

「駄目だ!!またが怪我したらどうするんだ!?どうしても乗りたいんだったら
 兄ちゃんが後ろに乗せてやるからおまえは乗れなくていい!!」


結局は今も自転車に乗れないままです

------------後書き-----------------------------------------------------------------------------------
初100のお題に挑戦です
これが第一号です(^^)
一応「本日ハ晴天ナリ」の番外編ですな
設定的にはちゃんが小学2年生みかみんが4年生って感じです
たぶん「本日ハ晴天ナリ」の番外編はこうやって増殖していくと思います(笑)
もしよければ本編と同様おつきあい下さい                  1月19日 砂来 陸