「コレ何」
「見てわかんねーのかよ」
とある休日
私、三上は兄である三上亮に呼びだされてとある喫茶店に来ていた
本日モ晴天ナリ-指輪-
一体どうしたことでしょうか
「・・・」
目の前にあるモノを見たまま私は動けないでいる
すると亮はそんな私を見かねたのか
「さっさと受け取れよ」
と言ってきた
無理をおっしゃる
しかし、いつまでもこの硬直状態が続くのも困るのでとりあえず目の前にあるモノに手を伸ばしてみた
テーブルの上に置かれた小さな箱
こんな箱を見ると中身がある一定のモノしか浮かばないのは頭が固い証拠だろうか?
そんな事を思いながらも恐る恐る箱を引き寄せる
そっと開けてみる
パカッ
パタン
「何で閉めるんだよ」
ちょっと不機嫌そうに亮は言ってきた
それが分からないなら亮はホントに大物だよ
「私と亮って血の繋がった兄妹だよね?」
もう分かりきっている事だがどうしてもそう聞いておきたい
すると亮はますます不機嫌そうな顔をしてきた
「んなもん決まってるだろ」
そうだよね
やっぱり普通の実の兄妹だよね
じゃ、これは何でしょう?
さぁ、落ち着いて深呼吸してみようか
吸ってー吐いてーまた吸ってー
よし、
「何が悲しくて実の兄貴に指輪なんてプレゼントされなきゃいけないのよ」
ていっと指輪を箱ごと亮の方へ投げつける
「あってめー俺がわざわざ買ってきた物に何しやがるっ」
そう言うと亮は指輪をこっちに投げ返してきた
「何しやがるってこっちのセリフよ。いきなり呼び出されたと思ったら『これ受け取れ』だぁ?」
プロポーズで言われたくないセリフにランクインしちゃいそうな言葉じゃない
「いいじゃねぇか。指輪は女の夢なんだろ」
「はい?」
一体何の冗談かと思ったけど亮の顔はいたって真面目だった
っていうか女の夢って何さ
「おとなしく受け取れ」
「だから貰ういわれが無いってば。一体何なの?」
いくら亮でも何の意味無しにこんなことをするとは思えない
それもわざわざ休みの日を削ってまで、なんてね
「何かあったんでしょ?ワケを話してくれないと指輪は受け取れない」
また指輪を投げ返す
すると亮はしかめっ面をして指輪の箱をもてあそび始めた
なかなか話し出そうとしない亮を根気強く待つ
「前にさ」
ホットコーヒーがもうアイスコーヒーに変わりかけて来た頃、ようやく亮は口を開いた
飲みかけていたホットもといアイスコーヒーをテーブルの上に置いて亮の話を聞く
「がまだ幼稚園に通っていた頃におまえ指輪 貰って帰ってきた事があったろ」
そんなことあったっけ?
と軽く頭をひねる
「ほら、なんとかってヤツがくれた赤いのだよ」
あぁ、
そこまで言われてようやく思い出す
確か同じ組の何とかクンって男の子におもちゃの指輪を貰った事があった
プラスチックで出来たおもちゃの指輪だったけど真ん中に付いた赤いガラス玉がとても綺麗でとても喜んでたような記憶がある
「あれ、でもあの指輪無くしちゃったんだよね」
もらった次の日くらいだろうか、大事に引き出しに仕舞ったハズだったのに指輪はもう見つかる事がなかった
「あれさ、俺の所為なんだよな」
あの時すごく泣いたっけ。なんて1人回想モードに浸っていたら衝撃の新事実を聞かされた
ビックリして声が出ない ただじっと亮を見つめる
「お前があんまりあの指輪ばっかり見てるからつい、な」
「ついどうしたの?」
変な所で切られたから続きを促す
「ついー・・・・・捨てた」
ヲイ
もはや声も無くあきれ顔で亮の事を見ている
「なっ何だよその顔!!」
何って ねぇ・・・
「だいたいお前も悪ぃんだぞ!!」
何でよ
「サッカーしようって言ったら『お母さんに早くコレ見せたいから今日は嫌』なんて言いやがって!!」
思わず目を見開いた
亮は しまった、なんて顔をしてる
笑みが零れそうになる
「亮はヤキモチやいてたんだー」
「うっせ・・・・」
クスクス
素直じゃないなぁ
よし、せっかくだからちょっといじめてみよう
「でも私はあの指輪すっごく大事だったんだよねー」
「・・・」
「男の子に初めて貰ったモノだったし」
「・・・」
「小さいときだったけどすごく泣いたんだよねー」
「・・・だからこれやるって言ってんだろ!!」
バンッ
亮は乱暴にテーブルの上に指輪の入った箱を置いた(叩き付けた?)
顔を真っ赤にして亮はそのままそっぽを向いてしまった
あぁイジメ過ぎちゃったかな
「だからなー俺だって少しは気にしてだなー」
そっぽを向いたまま亮は何やらボソボソと謝罪の言葉を述べてるらしかったがよく聞こえない
そんな亮に気付かれないようにそっと箱を手に取る
「わざわざ買ってきてだなー」
開けて改めて見ると指輪はシンプルなシルバー
でも真ん中には綺麗なカラーストーンが付いている
「お前もいいかげんいだなー許してくれたって「亮」
未だにブツブツ言っている亮の言葉を遮る
そこで亮はようやく私の方に向き直ってくれた
「似合う?」
薬指にはめた指輪をかざす
真ん中にあるブルーの石がキラッと一瞬、光を通した
「おう」
「やっぱ赤より青いヤツの方が似合ってる」
そんな亮の言葉が嬉しくて私はまた笑った
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兄妹愛もここまで来ると笑えますね
それでも書きたかったネタなんです!!どうか軽く流して下さいませ(^^;)
フリー夢ですので
あ、話の都合上カットしましたがみかみんがいきなり幼稚園の頃の事を思い出して指輪なんて買ったのは
昔の夢を見たっていう設定なんですよ
それで罪悪感を感じてわざわざ買ってきたという
個人的にちゃんには赤より青の石の方が似合いそうな気がしました
さてちゃんはどっちの薬指に指輪をはめたんでしょうね?
4月25日 砂来陸