ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ・・・

「キャプテン弁当見ながら笑うの止めて下さい」

「うるせーな。笑ってねぇよ」

(いやめちゃめちゃにやけてます・・・)

に弁当を作って貰える程度には良好らしい。

「・・・良いよな同棲」





涙で育った『   』が咲くとき






「違うよ。同棲じゃなくて同居・・・だよ。私は居候!」

『そーなのか?』

「そーなの!」

力強く頷くが相手は電話の向こうだ。見える訳がない

ルフィが電話してくるのは珍しい。

どうやら私の退院祝いがしたいらしい。即座に「お気持ちだけで」と返した

せめて松葉杖も不要になって全快祝いでお願いします。

「そもそも誰に聞いたの。同棲なんて」

『ん?ナミだ!』

「・・・」

『あ。外に出られないならトラ男のとこでやるか?だったら良いだろ!』

良い案だ!と言わんばかりに声を上げたルフィに思わず耳から電話を離す

『なぁ良いだろ「良い訳あるか。来るな」

「ちょ、ロー」

はまだ長時間外に出れるような身体じゃねえ。無理させるな」

ブチッ。左手から消えた携帯電話。挙げ句切られた

「・・・お帰りなさい」

「お前も断れよ」

ようやく戻ってきた携帯を玩ぶとローに小突かれた。理不尽である

「お風呂沸いてるよ。それともご飯にする?」

ひょこひょこ片足でバランスを取ることにはもう慣れた。手だって指に支障がないから料理もできる。

ちなみに買物と通院はペンギンとシャチに多大な迷惑をかけて賄われている。本当にすみません

「今日は早かったね」

「ああ・・・」

どうやら今日の彼は疲れてるらしい。

そりゃそうだ。ローが帰ってくるのは2日ぶり。昨日はオペで寝てないってシャチが言ってた

「お疲れ様」

深くソファに座り込んでるローの頭を撫でる。

ついやってしまった行動だったがローがカッと目を見開いたのでこっちが驚いた

「わっ」

「・・・手」

「て?」

「・・・」

な、なんだなんだ。お互いしばらく黙っていたがやがてローが「風呂入る」と立ち上がった

反射的に「あ、うん。ご飯あっためとく」と返して謎の沈黙は終わった

疲れているんだろう。医師という職業の大変さ。命を預かるプレッシャー。

家はそんなローがリラックスできる唯一の空間だったに違いない。(何せ彼は恋人の類いを家に入れない、謎のポリシーを持っていた。それはそれで彼女さんが可哀相な気もするが・・・)

そんな空間に転がり込んでしまった私。

出来る限りストレスのかからないようにするのは幼馴染云々の前に居候としての義務だと思う。

「ん・・・ちょっと甘いかな」

砂糖が多かったかもしれない。肉じゃがをよそいながら少しだけ味見する。じゃがいもはほど好く味が染み込んでるけど

「おい」

「うん?ビール冷えてるよ」

「ああ」

せっかくお湯を張ってたのにローってばまたシャワーで済ませたに違いない

「座ってて良いよ」

「いいや持ってく」

久しぶりに二人向かい合ってご飯を食べる

ローは食事について文句は言わない。寧ろ「悪くない」とか「また作れ」とか褒めてくれることの方が多い

「甘すぎでしょ?」

「いや丁度良い」

「お粗末様です」

小さい時はよくある光景だった。

始まりはいつだったか。

母はとてもよく働く人だった。愚痴も言わずせっせと働いて働いて私を育ててくれた。

幼心にそれがわかっていたから私も何も言わず留守番をしていた。ご飯を作るのも私の役目だった。

ローの家も似たようなもので・・・ならば一緒に食べようと。私が誘ったのか?ローが居着いたのか?ううん・・・

「美味しい?」

「ああ」

酷く居心地が良い。この暮らしをそう感じているのは絶対に言わない。

ただ・・・ローも少しくらいそう思ってくれていると良いな。


お弁当を作ることも嫌いじゃない。ただ本当に忙しいことは知っているので無理して食べなくて良いよ、とは伝えてある

今のところ毎回空っぽになって返ってきているけど。

仕事の話はあんまりしない。ローの愚痴はあんまり聞いたことない

逆に私は会わない間のことをあれこれと喋る。ん?喋らされる・・・?ローは相槌が上手なのか聞き上手なのか「それで?」とか「他には」とかすぐにつっこんでくる

「ロー私に何かできることない?」

「あ?どうしたんだ急に」

肉じゃがうまい、また作れ。いや、そういうことじゃなくて・・・

ふるり、首を横に振ってそういうことが言いたいのではなくて、と意思表示をする

たのしい。まるで隣同士に住んでいたあの頃に戻ったみたいで

「仕事の手伝いはできないし、本当はできないことの方が多いってわかってるんだけど」

「そうやって何時も自分を卑下するのはお前の悪い癖だな」

卑下ではない。これは事実であり自覚しているだけ褒めてほしい

「私にできることならなんだってしたいんだよ。それが少しでもローの役に立てるなら尚更」

珍しく目を見開いたローは肉じゃがを咀嚼して、勢い余って箸まで噛んでいた

「・・・そういう防御力ゼロな台詞を簡単に男の前で言うんじゃねぇよ」

「ごめん良く分からない」

「まさか誰にでも言ってるんじゃねぇだろうな。ペンギンに言ってたらぶっ殺すぞ」

「ねぇなんで急に殺伐としてきたの?私何か変なこと言った?」

結局それ以上の事は聞き出せなかった。いったい何なんだ

役に立ちたい、って思って悪いのか。ローが望むなら何だって、したい。って、遠回しに聞いただけだったのに

歯車がずれる瞬間なんてこんなもの



ねぇロー私は貴方の毒にはなりたくないの